エネオス、ペトロナスと協業 CO2フリー水素構築で

2021年09月14日

ゴムタイムス社

 ENEOSは9月10日、マレーシアの国営石油会社Petroliam Nasional Berhad(ペトロナス)の完全子会社であるPETRONAS Gas & New Energy Sdn Bhd「PGNESB」とCO2フリー水素のサプライチェーン構築に向けた協業検討について覚書を締結したと発表した。

 同社は、脱炭素に向けた本格的な水素の大量消費社会を見据えて、国内外でCO2フリー水素サプライチェーン構築に取り組んでいる。海外においては、豪州や中東、アジアにおける広範囲なアライアンスを活かし、安価な水素の大量供給実現に向けた検証を行っている。

 今回の協業検討は、その一環であり、マレーシアで生産された水素を効率的な貯蔵・輸送形態の一つである有機ハイドライド・メチルシクロヘキサン(以下「MCH」)に変換し、同社製油所へ輸送するといったサプライチェーン全体について両社で検討する。同社とPGNESBはマレーシア国内での水素の製造、MCH製造および出荷について検討を行う。また、同社は製油所でのMCHを利用した水素の製造・利用、更には近隣の火力発電所や製鉄所などへの水素供給に関する検討を行う。

 同検討においては、ペトロナスの石油化学工場における未利用の副生水素を利用することを予定している。ペトロナスの石油化学工場は数万t規模と豊富な副生水素の製造ポテンシャルを有しており、安定的かつ競争力のある供給源を確保できることから、同事業は高い実現可能性が期待できる。併せて、将来的な規模拡大を念頭に、再生可能エネルギー由来のグリーン水素や、化石燃料から水素を製造する際に排出されるCO2をCCSなどにより回収・貯留することで、CO2排出量を実質ゼロとするブルー水素の製造可能性についても検討する。また、同協業の一環として、両社はマレーシア国外での水素製造プロジェクトの可能性についても検討する。

 なお、今回の検討にあたっては、日本政府のグリーンイノベーション基金など、政府による支援を活用し、CO2フリー水素サプライチェーンの社会実装を早期に実現することを目指す。

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