製造技術パッケージ完成 旭化成 LIB用電解液原料で

2021年07月13日

ゴムタイムス社

 旭化成は7月1日、スマートフォンや電気自動車で使用されるリチウムイオン電池(LIB)の電解液の主要原料であり、世界中で需要が高まっている高純度エチレンカーボネート(EC)および高純度ジメチルカーボネート(DMC)の製造技術のパッケージが完成し、第1号のライセンス契約を締結したと発表した。

 昨今、電気自動車(EV)への世界的なシフトが見込まれ、それに伴いLIBのさらなる需要拡大が予想されている。一方、地球温暖化対策の観点から、LIBの主要構成要素にも環境に配慮した設計が求められている。

 同社は、二酸化炭素(CO2)を原料としたポリカーボネート(PC)樹脂製造時の中間体であるECおよびDMCをLIB用電解液の原料に使用できるよう高純度化する製造技術の対応可否を検証してきたが、今回、ECおよびDMCの製造技術のパッケージが完成し、第1号のライセンス契約の締結に至った。

 ライセンス契約の対象品は高純度EC3・8万tと高純度DMC7万tの製造技術パッケージで、ライセンス先は海外大手化学メーカー、供与するライセンス権は当該国における非独占的製造権および全世界への非独占的販売権となっている。

 同社のPC樹脂製造技術同様、同技術パッケージではCO2を原料とする。原料の約半分がCO2であり、今回のライセンスで年間約5万tのCO2を消費することになる。

 同技術により環境に優しいLIB用電解液の供給が可能になり、持続可能な社会の実現に貢献する。同社は今後も、CO2を原料とする環境に優しい技術を、ライセンスという形で世界中に広めていくとしている。

 同社は2002年に台湾・旭美化成において、世界で初めてCO2を原料としたPC樹脂の製法を実用化した。その後、現在までに、5ヶ国・地域6社に約90万t相当の製造技術ライセンス供与を実施し、同社製法を採用するプラントは世界全体の生産能力約600万tの約16%を占めている。

 

高純度化製造技術パッケージが完成

高純度化製造技術パッケージが完成

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