MS樹脂の増産設備竣工 デンカ、シンガポール拠点

2021年07月08日

ゴムタイムス社

 デンカは7月8日、シンガポールの子会社Denka Singapore Private Limited(DSPL)が同国のセラヤ工場で進めていた高機能透明樹脂のMS樹脂の増産設備を竣工し、7月1日から稼働を開始したと発表した。これにより、同社のMS樹脂生産能力は年間約7万トンから約14 万トンに倍増し、拡大する需要に対応していく。投資金額は約27億円。
 MS樹脂は高透明性や低吸湿性による寸法安定性などの特長を持ち、液晶テレビやPCモニターのバックライト用導光板等の光学用途に加え、中国を中心としたアジアで成長著しい化粧品用容器等の非光学用途まで使用されている。
 同社のシンガポール拠点では連続プラントでの精密重合技術を活かした低コンタミ、良外観を備えた高機能樹脂の製品を安定生産できる技術を有し、製品に加えて生産技術でも他社との差別化を図っており、国内外のユーザーから高い評価を受けている。
 テレビ・モニターの省エネルギー・大画面化・狭額縁化や化粧品容器の高品質化へのニーズが高まる中、同社は2019年9月に、汎用ポリスチレン生産設備の転用・改造による生産能力の増強を決定した。
 同社では経営計画「Denka Value―Up」において基盤事業のスペシャリティー化を成長戦略の柱のひとつに掲げ、ポリマーソリューション部門では今回設備増強を実施したMS樹脂をはじめ、シュリンクラベル等で使用されるSBC樹脂(クリアレン)や、自動車の内外装材用途に使用される耐熱付与材(デンカ IP)などの高機能・高付加価値スチレン系機能樹脂に注力している。今後もSDGs を羅針盤に「誰よりも上手くできる仕事への集中」によるポートフォリオ変革とさらなるスペシャリティー化を進め、真に社会に必要され「社会にとってかけがえのない存在となる企業」を目指していく。

シンガポールセラヤ工場

MS樹脂

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