気候保護に向け新技術で協力 BASFとRWE

2021年06月04日

ゴムタイムス社

 BASFは6月3日、同社のマーティン・ブルーダーミュラー取締役会会長と、独・RWE社のマーカス・クレバーCEOが、鉱業・化学・エネルギー労働組合(IG BCE)のミハエル・バシリアディス委員長と共に、将来にわたり持続可能な工業生産のためのプロジェクト案を発表したことを発表した。

 同プロジェクトでは、ルートヴィッヒスハーフェンの化学工場にグリーン電力を供給し、CO2フリーの水素製造を実現するため、2GWの発電容量を有する洋上風力発電施設の追加建設を計画しており、化石燃料をベースとする既存の基礎化学品生産の電化を目指している。

 同プロジェクトは、石油化学製品の生産に電気加熱式スチームクラッカーなどのCO2フリー技術を利用するもので、同社はすでにパートナー企業と協力して同技術の開発を進めている。同社とRWEの両CEOは、この共同プロジェクトを推進するため、再生可能電力を生産する発電施設の増設と、気候保護に向けた革新的技術の利用について、広範に及ぶ協力を定める基本合意書に署名した。

 同社のブルーダーミュラー取締役会会長とRWE社のクレバーCEOは、「私たちは電化とCO2フリー水素の利用を通じて、CO2に依存しない化学産業への移行を共に加速していく」とコメントしている。

 年間のCO2排出削減量は約380万tとなる見通しで、そのうち280万tはルートヴィッヒスハーフェンの化学工場で実現される見込みとなっている。これは化学業界において、気候保護と競争力の維持を両立するための明確なロードマップと言える。なお、風力発電施設の建造における公的補助金の利用は予定していない。

 同社とRWEは、今回発表されたプロジェクトを通して、ドイツの産業部門が変革を巧みに計画し、成功へ導くための方法を示した。同社のブルーダーミュラー取締役会会長とRWE社のクレバーCEOは、「私たちは、『Made in Germany」』の気候中立的な工業生産がドイツにおける付加価値と雇用を維持し、新技術の輸出機会を創出していくと確信している」と述べている。

 

(左から)ミハエル・バシリアディスIG BCE委員長、マーカス・クレバーRWE社CEO、マーティン・ブルーダーミュラーBASF取締役会会長

(左から)ミハエル・バシリアディスIG BCE委員長、マーカス・クレバーRWE社CEO、マーティン・ブルーダーミュラーBASF取締役会会長

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