高性能断熱ボックスに採用 住友理工のファインシュライト

2021年05月27日

ゴムタイムス社

 住友理工は5月26日、同社開発の薄膜高断熱材「ファインシュライト」が、スギヤマゲンのドライアイス対応超高性能断熱ボックス「バイオボックスフリーザー」に採用されたと発表した。

 バイオボックスフリーザーは、医療機器メーカーのスギヤマゲンが2月から本格的に販売を開始したもので、今回、このバイオボックスフリーザーに同社のファインシュライトが採用された。塗料化したシリカエアロゲルを不織布に含侵させ、その上にアルミ蒸着フィルムを張り付けたシートタイプ0・6mmの断熱材で、外からの熱を反射する「遮熱」と、ボックス内の熱が外に逃げていくのを防ぐ「断熱」の効果を発揮するという特長をもつ。ボックスに内蔵された真空断熱材にファインシュライトを追加で使用することにより、断熱性能を約2割向上させた。ドライアイスを入れて保冷し、電源なしでもマイナス70℃以下を12日間保持することが可能となる。各自治体における新型コロナウイルスワクチンの保管・管理への貢献が期待されている。

 定温輸送ボックスの多くは、定期的にドライアイスを追加することで保冷性を保つ。使用されるドライアイスには、角形とペレットタイプがあり、バイオボックスフリーザーは角形ドライアイスに対応する。ペレットタイプは冷却能力が高い一方で、日本では流通量が比較的少なく、新型コロナワクチン接種の本格化に伴う不足が懸念される。バイオボックスフリーザーは、一般的に流通している角形ドライアイス対応製品として、今後さらに加速していく新型コロナウイルスワクチンの輸送にも大きく寄与する。

 ファインシュライトは、従来の断熱材に比べて非常に薄くて軽いのが特徴で、機器や器具などの従来設計を大きく変えることなく断熱性能を向上させることが可能となる。

 同社グループは引き続き、共同で製品開発できるパートナーの探索を進めながら、熱マネジメント分野での技術・製品開発を通じて、人々の暮らしにおける安全性や快適性の向上、より効率的なエネルギーの活用に貢献してしていくとしている。

 

ファインシュライト採用部分

ファインシュライト採用部分

スギヤマゲンの「バイオボックスフリーザー」

スギヤマゲンの「バイオボックスフリーザー」

 

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