フィルム事業好調で増益 東洋紡の21年3月期

2021年05月11日

ゴムタイムス社

 東洋紡の21年3月期連結決算は、売上高が3374億600万円で前期比0・6%減、営業利益は266億5700万円で同16・9%増、経常利益は207億600万円で同14・8%増、当期純利益は42億200万円で同69・5%減。新型コロナ感染拡大により、年度前半を中心に自動車関連製品、衣料繊維が影響を受けた。アクリル繊維事業では、事業用資産の減損損失78億円を計上した。一方、新型コロナ感染が拡大する中、世の中のPCR検査需要に応えるため、PCR検査用原料や試薬の生産量を倍増する体制をとった。また、セラミックコンデンサ用離型フィルム「コスモピール」は、自動車生産の回復に伴い販売が復調し、液晶偏光子保護フィルム「コスモシャインSRF」は、新ライン(3号機)による量産を開始し、販売を伸ばした。
 セグメントのうち、フィルム・機能マテリアルは、売上高が1528億円で同20・2%増、営業利益は200億円で同37・3%増。フィルム事業が堅調に推移した結果、増収増益となった。フィルム事業では、包装用フィルムは、新型コロナ感染拡大の影響により業務用製品等が減少した一方、巣ごもり需要は高まった。また、火災事故により一部の製品販売は減少したが、消費者の環境意識の高まりを背景に環境対応製品は販売を伸ばした。工業用フィルムは、液晶偏光子保護フィルム「コスモシャインSRF」が堅調に販売を伸ばし、セラミックコンデンサ用離型フィルム「コスモピール」は自動車生産の回復に伴い、年度後半に復調した。
 機能マテリアル事業では、工業用接着剤「バイロン」、ポリオレフィン用接着性付与剤「ハードレン」は、年度後半に販売は復調したものの、年度前半までの新型コロナ感染拡大による販売減少を補えなかった。一方、水現像型感光性印刷版を扱う光機能材料事業は、中国・欧米向けの販売が堅調に推移した。
 22年3月期の連結業績予想については、売上高は3600億円で前期比6・7%増、営業利益は270億円で同1・3%増、経常利益は220億円で同6・2%増、当期純利益は115億円で同173・7%増を見込んでいる。

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