自動車用オイルパンに採用 ランクセスの高性能プラスチック

2021年04月08日

ゴムタイムス社

 ランクセスは4月5日、同社の高性能プラスチック「デュレタンBKV35H2・0」(ポリアミド6)が、独IBSフィルトラン社の開発した新型の自動車用プラスチック製トランスミッションオイルパンに採用されたと発表した。

 ポリアミド類は、トランスミッションオイルパンの製造において、軽量構造、コスト削減につながる機能統合、デザインの自由度など、従来の鋼板やダイカストアルミニウムと比べて多くの利点を有している。特にポリアミド66は、近年、大型射出成形部品の量産に広く使用されている。しかし、ここ3年間余りに渡り、アジポニトリル(主原料)の不足のために時折価格が高騰し、場合によっては十分な量が入手できない場合があった。そのため、オイル循環経路用の樹脂部品の製造業者は、より手頃な価格で確実に入手できる、ポリアミド66の代替品を検討するようになり、性能プロファイルが類似していることから、ポリアミド6が有望な代替候補となっている。今回、IBSフィルトラン社が同社の「デュレタンBKV35H2・0」(ポリアミド6)を用いてオイルパンを開発し、最新式のオートマチックトランスミッションとして、様々な自動車メーカーの車両への導入が進められている。

 IBSフィルトラン社が、重量比35%のガラス短繊維で強化されたポリアミド6の耐油性と耐熱性を広範囲に調査したところ、様々なトランスミッションオイルを用いて実施された150℃での耐久性テストでは、経年変化において同等のポリアミド66と違いがないことが示された。むしろ、ポリアミド6は耐衝撃性と破断伸度が若干優れており、オイルパンが飛び石に対しても対応できることがわかった。優れた表面品質は、ポリアミド6によって得られるもう一つの利点であり、例えば、オイルパンガスケットの周辺では、非常に優れた表面特性がガスケットの効果性を高める。また、ポリアミド6は、収縮が少なく、結果として反りが少ないことや良好な溶着性もさらなるメリットとして挙げられる。

 

 

同素材使用のオイルパン

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