バイオマス由来プラスチックのライフサイクル思考

2021年02月25日

ゴムタイムス社

*この記事はゴム・プラスチックの技術専門季刊誌「ポリマーTECH」に掲載されました。
*記事で使用している図・表はPDFで確認できます。

特集1 バイオプラスチックの現状と将来展望

バイオマス由来プラスチックのライフサイクル思考

東京大学 菊池康紀

1.はじめに

 バイオマスからの化学品製造は、偏在する枯渇性資源である化石資源から、遍在しうる再生可能資源であるバイオマスに化学品原料を代替していくことであり、持続的な化学品生産を可能としうるだけでなく、バイオエコノミー1)的な観点から、今後のあるべき社会経済と、資源の循環に資するプロセスシステムとなりうるものである。国内においてもバイオマス由来化学品製造については、技術戦略の策定2)からバイオプラスチックに関する普及3)や資源循環4)について議論されるなど、活発化している。
 ライフサイクル思考(Life Cycle Thinking:LCT)とは、ある製品を評価する際に、その原材料の取得段階から最終的に廃棄されるまでの全生涯における影響を考慮することであり、特に環境負荷を定量化するための手法としてライフサイクルアセスメント(Life Cycle Assessment:LCA)がある5)。LCAには、現在のライフサイクルにおける製品の環境属性を可視化させる帰属的LCAと、現在のライフサイクルに変化を加えた時に起こる変化を

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