年頭所感 日本プラスチック工業連盟 岩田圭一会長

2021年01月01日

ゴムタイムス社
岩田圭一会長

岩田圭一会長

 謹んで新年のお慶びを申し上げます。
 昨年、新型コロナウイルスの大流行により生活様式、人々の往来等、すべてが劇的に変化し、世界経済はリーマンショックをも超える危機に直面しました。
 夏以降は中国を中心に回復に向かいましたが、未だ感染症の勢いは世界各地で衰えを見せず、経済活動抑制への懸念も高まっています。引続き医療現場などで治療や感染拡大防止に尽力されているご関係の皆様に深い敬意を表します。
 そのようななか、ビジネスの世界ではこの困難をチャンスに変えようとする動きも多くみられました。デジタル技術が一気に進展するとともに、「ニューノーマル」に見合った製品、サービスの提案のほか、新しい働き方も定着し始めました。また、さまざまな場面で、感染防止用にプラスチック製品が多用され、プラスチックの持つ利便性や有用性が改めて社会で認知されたものと思います。しかしながら、昨年、4年ぶりに当連盟が実施したイメージ調査では、海洋プラスチックや地球温暖化等の問題が深刻化していることを背景に、プラスチックのイメージが悪化していることが示されました。残念なことではありますがこの事実をしっかり受け止め、プラスチックの重要な役割、社会への貢献、業界としての取組みや考えが適切に消費者に伝わるよう、引き続き努力していく考えです。

 日本では「プラスチック資源循環戦略」が2019年に策定されて以降、徹底した利用循環を図るための協力体制の構築や消費者の意識改革に向けた施策などが進められています。これらの動きや今後に関する議論も見据えながら、現在、当連盟では独自に策定した資源循環戦略に基づき、従来の3Rを深化させる取組みだけでなく、リサイクルプラスチックの利用促進のための新たな再生ルートづくりや、関係省庁に対する意見具申等を行っています。資源循環確立のためには、幅広い連携が欠かせません。原料メーカー、成型メーカー、廃棄物処理会社、再生メーカーの皆様と協力しながら、複数のWGで議論を重ねており、2018年に策定した「海洋プラスチック問題の解決に向けた宣言活動」とあわせ、本年も重点課題と位置付けて取り組んでまいります。

 また、当連盟の業務の柱の一つであるプラスチックの国際標準化については、昨年は、コロナウイルスにともなう活動面での制約はあったものの、積極的に日本からの規格開発推進に努めました。本年は、従来からの事業受託とあわせ、リサイクルに関する規格開発を日本主導で推進していくことを目指す考えです。また、ISOの「液体輸送用プラスチック管、継手およびバルブ」(TC138、開催地UAE)、「プラスチックの機械的性質、物理・化学的性質等」(TC61、同スウェーデン)の国際会議に委員を派遣し、日本企業の新規市場展開を支援すべく活動してまいります。

 これらのことを踏まえた上で、当連盟では2021年度から始まる、新たな4か年計画を取りまとめているところです。昨年は、菅内閣の発足、アメリカ大統領選挙でのバイデン候補の勝利など政治面でも大きな変化がありました。さまざまな政策の方針が変わる可能性があるなか、環境関連につきましてもその動向に注視する必要はありますが、持続可能社会を追求する世の中の大きな流れは不変だと思います。当連盟といたしましては、プラスチック最適利用社会の実現に向けて、各省庁、関係する団体などと密接に連携しながら、取り組んでまいる所存でございますので、本年も引き続きご支援とご協力をお願い申し上げます。
 皆様方のますますのご繁栄とご健勝を心よりお祈り申し上げます。

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