LiBセパレータ開発を拡大 帝人、上海エナジー社と契約

2020年12月24日

ゴムタイムス社

 帝人は12月22日、上海恩捷新材料科技股份(以下「上海エナジー社」)との間で、リチウムイオン二次電池(LiB)に使用される溶剤系コーティングセパレータの製造に関する包括的な技術ライセンス契約を締結したと発表した。

 同契約で対象となるのは、フッ素系化合物のコーティングセパレータに、アラミドのコーティングセパレータを加えた、同社保有の溶剤系セパレータ関連の特許で、耐熱性に優れるアラミドのコーティングセパレータを対象として追加することで、より安全性に優れるセパレータを実現可能とする。対象となる用途は、従来の車載用に加え、スマートフォン、タブレット、モバイルパソコンなどの電子機器用や、電力貯蔵システム用となっている。

 また、今回のライセンス契約とともに締結した開発受託契約により、同社は、上海エナジー社からコーティングセパレータに関する開発業務の一部を受託し、さらに高容量で安全性に優れるLiBの実現に向けてセパレータを開発していくことになる。

 世界的な環境規制強化を背景に、電気自動車(EV)の普及が加速しており、安全で長距離走行に耐え得るLiBの需要が急速に拡大している。こうした中、同社は2019年11月に、世界トップクラスの基材生産能力とコスト競争力を持つ上海エナジー社との間で、車載用LiBに使用されるフッ素系化合物による溶剤系コーティングセパレータの製造に関する技術ライセンス契約を締結した。

 同契約を基に、同社のコーティング技術と、上海エナジー社の基材生産能力およびコスト競争力とを融合して生産するセパレータは、顧客から高い評価を得ており、市場ニーズの高さが確認されている。こうした状況を受けて同社は、上海エナジー社とのライセンス契約をより充実させ、対象用途を広げることでさらに幅広い需要に応えられると考え、このたびの契約締結に至った。

 同社は、今回の契約締結を足掛かりに、EV、電子機器、電力貯蔵システムなどの用途に求められるLiBの実現に向けてセパレータの開発を積み重ね、市場におけるプレゼンスの向上を目指すとしている。

 

 

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