デンカ、米国子会社DPE 損害訴訟の対処について

2020年12月18日

ゴムタイムス社

 デンカは12月17日、同社米国子会社であるデンカ・パフォーマンス・エラストマー社(以下、DPE)のポンチャートレイン工場周辺に居住する複数の住人が、DPEのクロロプレンゴム製造工場から排出されたクロロプレンモノマーによって身体的、財産的、精神的損害を被っているとして損害賠償を請求している件について、DPEは訴訟の内容を精査した上で、適切に対処していると発表した。DPEは米国ルイジアナ州において、2020年2月14日発表のとおり複数の訴訟の提起を受けている。

 今回、米国の産業医学専門科学誌「Journal of Occupationaland Environmental Medicine」にて発表された最新の疫学的研究において、米国におけるクロロプレンモノマーを取り扱う施設で従事した作業員約7000名を70年近くにわたり追跡調査した結果、肺がんおよび肝臓がんによる死亡率は、クロロプレンモノマーと関連がないと結論づけられた。これは、DPEポンチャートレイン工場(米国ルイジアナ州)から1300人超、他社工場(米国ケンタッキー州)から約5500人を対象としており、約7000名の対象者は、全米平均および地元郡平均と比較して全死亡およびがんによる死亡ともに低い死亡率であることが確認されている。

 国際合成ゴム生産者協会の資金提供のもとピッツバーグ大学の研究者により実施された同研究は、2000年末までのデータを元に2007年に得られた同様の調査結果を追跡調査したもので、同研究者は、今回さらに2017年までの17年分の作業員の健康調査に関するデータを追加できたことで、死亡率のパターンに関する情報がより信頼できるものになったと述べている。

 なお、ルイジアナ州腫瘍統計局の調査においても、DPEポンチャートレイン工場のある地域の発がん率は、同州全体の発がん率に比べ大きな差異は見られなかったと公表されている。

 DPEは今後とも州および連邦規制当局と協力して、化学物質に関する最善の科学を追究するとともに、さらなる環境負荷低減に努めていくとしている。

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