フェノール樹脂(PF)|熱硬化性樹脂

2020年08月16日

ゴムタイムス社

【開発経緯概略】
フェノール樹脂は、フェノール類とアルデヒド類との縮合反応により得られる樹脂状物質を主体とする高分子をいう。PFは、1900年代にアメリカのベークランド博士が発明した世界最初の合成プラスチックである。用いる触媒により次の2種類の初期縮合物が得られる。
・レゾール:アルカリ触媒を使用する反応。レゾールは、そのままかアルコール系溶媒を配合し、絶縁塗料、接着剤、積層板、工業用レジンの原料となる。
・ノボラック:酸触媒を使用する反応。木粉、パルプ、その他の基材や着色剤、滑剤、硬化剤などを配合して成形用コンパウンドなどの原料となる。

【性質、加工、その特徴】
一般的に、力学的性質・耐熱性・耐寒性・耐有機溶剤性・耐酸性・耐水性・電気絶縁性・寸法安定性に優れている。
① 熱硬化性樹脂であるので、弾性率や物理的耐熱性である荷重たわみ温度は高い値を有している。
② 耐熱劣化特性である連続使用温度は、木粉入りグレードで130℃、無機フィラー入りで180~200℃である。
③ 耐衝撃性が小さい。強化材や充填材の選定により向上させることは可能である。
④ 疲労強さはガラス繊維強化グレードでは、107回で、約54MPaと大きい。
⑤ フェノール性水酸基のため耐アルカリ性は良くない。
⑥ 電気絶縁性は良いが、アークによりカーボンが生成するため、耐アーク性が良くないのが欠点の一つである。耐トラッキング性も良くないが、改質グレードが開発されている。
⑦ 難燃性で、かつ燃焼時の発煙量も少ない。また、燃焼時の煙には有毒物質を含まない。
⑧ 高温度の空気に長時間さらされると赤褐色に変色するので、着色材使用に限界がある。

【新製品への応用と主な用途】

全文:約1147文字

関連キーワード:

技術セミナーのご案内

ゴムタイムス主催セミナー