東レは7月16日、同社グループ現地子会社であるToray Membrane Middle Eastを通じて、サウジアラビア王国のシュアイバ3海水淡水化プラントに逆浸透(RO)膜を供給したと発表した。
このプラントの処理能力は日量60万立方メートルで、近年、人口増加やインバウンド需要により水需要が高まっているサウジアラビアのメッカ、ジェッダ、タイフ、アルバハの地域に安定的に飲料水を供給する、重要な水ライフラインとなる。
シュアイバ3プラントは、多くのエネルギーを消費し、大量のCO2を排出する従来の蒸発法による海水淡水化施設を最先端の逆浸透膜法により、環境負荷を大幅に低減した淡水化プラントに変換する、画期的なプロジェクトとなる。またその稼働電力の65MWp相当が専用太陽光発電システムによって賄われ、このプロジェクトの環境負荷削減効果はCO2排出量約4500万t/年、原油使用量約2200万バレル/年にものぼり、持続可能な開発と脱炭素化に向けたサウジ・ビジョン2030を体現した取り組みのひとつとなる。
この環境負荷低減に向けたサステナブルで革新的なプロジェクトに同社が採用されたことは、サウジアラビア王国をはじめとする中東地域での持続可能な水インフラ整備に貢献する、先進的な膜技術を長年提供してきたことが評価されたものとなる。
同社は今後も当該地域の安定した水供給により一層貢献するため、販売品目の拡充や水処理技術サービス拠点(MEWTEC)を設立するなど、現地における販売・技術・生産体制を強化している。これはサウジ・ビジョン2030に掲げられた産業の現地化および持続可能な発展の目標や、持続的かつ健全な成長の実現に向けた同社の長期経営ビジョンTORAY VISION 2030とも一致している。
同社は、逆浸透(RO)膜、限外ろ過(UF)膜、MBR(膜分離活性汚泥法)膜というすべての膜種を自社開発でラインアップする、総合水処理膜メーカーとなる。その製品の適用範囲は飲料、工業、農業、排水処理、廃水再利用など多岐に渡るが、その幅広い製品ラインアップによりあらゆるニーズに対するソリューションを提供することが可能となる。
今後も、最先端の水処理膜技術を提供し続けることや、需要地での技術サービスをより一層強化することにより、産業拡大、人口増加により今後ますます水需要が拡大することが見込まれる中東地域をはじめ、世界の水問題解決に貢献していく。
2025年07月17日