宇宙で沈降シリカ実験 グッドイヤーが研究参画

2019年07月22日

ゴムタイムス社

 ザ・グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバー・カンパニーは7月19日、今月より開始される国際宇宙ステーション(ISS)における米国国立研究所のプロジェクトに参画すると発表した。タイヤ性能の向上を目的に、宇宙空間でタイヤコンポーネント実験を実施する予定。

 7月21日に予定しているスペースX社の18回目の打ち上げ計画「スペースX・CRS―18」において、同社の実験器具を搭載したロケットが月に向けて出発する。同社は、宇宙ステーションでの微小重力状態のもと、消費財タイヤに使用される一般的な材料であるシリカ粒子の形成に関する研究を行う。その中で、同社のエンジニアと科学者は協力し、特異構造を持つ沈降シリカが、タイヤの性能を向上させることに寄与するかどうかの実験を行う。

 今回、国際宇宙ステーションでは微小重力状態の下、同社が準備したシリカ実験が行われるが、それと同時刻に、地球上でも同社の研究所において、同様の実験が実施される。また、宇宙ステーションで得られた実験結果はそのまま凍結され、地球に持ち帰られる。これにより、後に行われる地球上と宇宙空間における実験結果の比較研究が可能になる。

 1969年7月、同社はアポロ11号のミッションに欠かせない製品を供給した。ロケットが発射台の上を移動する際に使用された制動システムや、エンジン内で窒素、酸素および水素を循環させるのを助ける「パージ・アンド・コンディショニングシステム」を同社が提供した。さらに、宇宙船の着陸装置が取り付けられたパネルや、司令室の窓枠も同社製だった。アポロ11号が地球への帰還のため海に着陸した際、カプセルは同社製の浮き輪によって直立が保たれ、宇宙飛行士は救命ボートに潜り込むことができた。また、月面で宇宙飛行士たちは、撮影機材、掘削機材、月面から採取した岩を入れた35個の袋をカートに載せて運んだが、このカートに使われた16インチのタイヤは、多くの同社社員が携わったプロジェクトによって開発されたものだった。

 同社のチーフ・テクノロジー・オフィサーであるクリス・ヘルセル氏は、「当社のタイヤは、かつて月に降り立ち、地球に帰還した。その経験と知見により、当社は消費財タイヤの性能を新たなレベルに引き上げた。月面探査は多くの技術革新をもたらすためのインスピレーションとなった。当社は、かつてのアポロ計画とともに、今回の打ち上げ計画にも参画できることを大変誇りに考えている」と述べている。

 

 

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