フッ素樹脂被膜材を開発 大陽日酸、高導電性を維持

2019年04月04日

ゴムタイムス社

 大陽日酸は3月25日、基材表面に導電性を持ったフッ素樹脂コーティング膜を形成することが可能な導電性フッ素樹脂コーティング材の開発に成功したと発表した。

 同社は、高い導電性を備えた長尺カーボンナノチューブ(CNT)の製造を行っており、極少量のCNTをフッ素樹脂粉末に均一に複合化することでフッ素樹脂に導電性を付与した、高機能フッ素樹脂の製造技術を有している。

 導電性フッ素樹脂コーティング材はフッ素樹脂コーティング膜用のフッ素樹脂ディスパージョンに同社独自のCNTを極少量複合化したもので、基材にコーティングすることにより、帯電防止レベル(100~10000(Ω/□))の導電性を持ったコーティング膜を作製することが可能。

 加えて、コーティング膜は厚み方向にも導電性を有しているため、膜の表面と基材外表面で導通をとることも可能となっている。さらに、極微量のCNTを複合化させているため、カーボンの脱落リスクも極めて低く、導電性かつクリーンなフッ素樹脂コーティング膜の形成も可能。

 同製品は半導体分野や化学分野で使用されている装置、設備(タンク、テーブル、バルブなど)および部品(配管、継手など)への使用が期待できる。

 同社は、山梨研究所にてサンプル試作体制を整えており、今後、ユーザーへの紹介およびサンプル提供を進め、本格的な商品化を進める計画としている。

 半導体分野や化学分野において、酸塩基液体あるいは有機溶剤のような腐食性が高い液体が使用されている。これらの液体による腐食を防止するために、液体が接触する部位(タンクや金属配管、バルブなどの流路)にフッ素樹脂コーティング膜を設けて保護している。フッ素樹脂コーティング膜は耐薬品性および耐熱性に優れるが、絶縁体のため液体が流れることで静電気を帯び、それが放電することでフッ素樹脂コーティング膜が破壊され、液体に金属成分が混入するなどの問題が発生する。そのため、静電気の発生が抑えられる導電性を持ったフッ素樹脂コーティング膜が望まれていた。

導電性フッ素樹脂コーティング材

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