昭和HDの16年3月期 過去最高収益もゴム事業は不振

2016年05月17日

ゴムタイムス社

 昭和ホールディングスの16年3月期連結決算は、売上高が122億1800万円、前年同期比13・3%増、営業利益は22億6100万円、同235・3%増、経常利益が25億4000万円、同299・6%増で、増収増益となった。親会社株主に帰属する当期純利益は3億6400万円、同295・8%増。

 タイ、カンボジア、ラオスでのDigital Finance事業の拡大と利益率の上昇が主な要因となり、売上高、営業利益、経常利益とも過去最高を記録した。

 セグメント別に見ると、Digital Finance事業では、従来はオートバイ等へのファイナンスに特化してきたが、カンボジアにおいて、同社グループが独自に開発したITプラットフォームと全土にPOSを張り巡らせた販売ネットワークを構築した結果、新しく製品を投入しようとするメーカーや商社、ディーラーが参加して販売を行う形で事業が拡大した。また、ここ数年にわたって行ってきた事業拡大のための投資活動が成果を上げて、ラオス、タイにおいても利益を生み出す段階に移行した。この結果、売上高は85億6600万円、同23・0%増、営業利益は26億5100万円、同165・2%増で増収増益となった。

 ゴム事業は、同社グループの創業以来の事業であり、従来の日本、マレーシアに加え、昨年4月からはタイにおいて事業買収を行い、昨年末からはインドネシア、ベトナムでゴム子会社を設立し、アジア展開を拡大した。従来、同事業は日本のマクロ経済の推移と連動した売上推移を見せる事業であったが、官民の設備投資の低迷が継続し、依然として厳しい状況が続いた。一方、新規開拓を進めている東南アジアにおいては、比較的好調な状況にあった。この結果、売上高は15億9900万円、同3・2%減、営業損失は6400万円(前期はセグメント損失7800万円)となった。

 スポーツ事業では、ソフトテニスボール「アカエム」において厳しい競争環境にあり、シェア拡大よりも利益の獲得を重視する方針で臨んだ結果、コミュニティ力および品質性を訴求した諸活動により、適正利益を確保した。一方、前年度に好調であった工事部門においては、新たな案件獲得には繋がらず低調に推移した。この結果、売上高は13億9600万円、同3・6%減、営業利益は2億2100万円、同7・7%増で減収増益となった。

 コンテンツ事業では、日本事業の強化ならびにアジア事業の開始など、中長期的な成長に向けての投資的活動を強化したことなどにより、売上高は5億800万円、同13・7%減、営業利益は5900万円、同45・6%減で減収減益となった。

 次期の業績見通しについては、売上高135億円、営業利益34億万円、経常利益36億5000万円、親会社株主に帰属する当期純利益5億円を見込んでいる。

 次期のゴム事業について、今後も日本国内においては厳しい競争環境が続くものと予測されるが、中期的施策の結果、固定費の低減によって損益分岐点の押し下げが進んでいる。これをさらに進めるとともに、昨年事業買収をおこなったタイ事業が単月黒字を16年3月に達成し、15年末から16年にかけて開始したインドネシア、ベトナムにおいて受注が進んで有望な案件を獲得しており、これらのアジア事業が、今後同事業の中期的な発展を支えていくと期待している。

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