取材メモ 東南アジアの洪水と天然ゴム価格

2015年01月19日

ゴムタイムス社

 昨年末、タイ南部やマレーシア北部、インドネシアなどで大雨による洪水が発生した。特にマレーシアでは、過去30年間で最悪の被害が出たとの報道もあり、東南アジア全体で数十万人規模の住民が避難を余儀なくされた模様だ。

 この時期、ユーラシア大陸の寒気が南下すると、南シナ海で発生したモンスーンによる湿った空気とぶつかり、大雨を降らせることが多いという。年が明けて、天候はやや回復したとのことだが、モンスーンの影響は今後しばらく続くとの見方もあり、現地では警戒が続いている。

 今回、洪水被害が出た地域は、天然ゴムの産地でもある。天然ゴムの生産には季節によって増減があり、雨季が明けた1~3月にかけては、年間で最も樹液が多く採取できる大増産期となる。しかし、今回の洪水が増産のピークを直撃した形となり、天然ゴム生産への影響は避けられないだろう。

 こうした供給に支障が出始めた状況を材料視したことなどから、TOCOM(東京商品取引所)のゴム相場は昨年末に急騰し、先限で前日終値より8円80銭高の214円/kgで大納会を迎えた。

 ところが一方で、原油価格の下落が止まらず、世界の指標となるWTI原油は、1月12日に一時1バレルあたり45ドル台まで下げた。

 その上、為替が円高ドル安傾向に振れたこともあり、年明けの東京ゴム相場は大きく下落した。14日には先限で一時194円30銭/kgと、1ヵ月ぶりの安値を付ける場面もあった。

 昨年11月にはタイ、マレーシア、インドネシアの天然ゴム生産国が、今年1月から輸出削減を実施することで合意し、価格対策が本格化したところだ。そこへ洪水による減産が予想され、昨年来続く天然ゴム価格の下落傾向に歯止めがかかるとの見方もあった。

 しかし、グローバル規模で様々な要因が絡み合い、天然ゴム価格の先行きを見通すのは容易ではなさそうだ。

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