国際プラスチックフェアが開催㊦ 成形・加工メーカー編

2014年11月10日

ゴムタイムス社

 10月28日から11月1日までの5日間、千葉市の幕張メッセで開催された「国際プラスチックフェア2014」には、国内外合わせて4万2907人が来場した。前号の機械と試験機メーカーに続き、成形・加工メーカーの展示を紹介する。

◇宇部興産
 UBEグループとして出展し、高機能ポリアミドエラストマー「UBESTA XPA」や「UBESTA PA12」などのナイロン樹脂を中心に展示を行った。
 XPAは加工性・低温特性・耐衝撃性が良く、耐候性に優れている、などというナイロンの特性に、プラスチックとゴムの境界領域を補う柔軟性と透明性を加えているのが特長。PA12は柔軟性と低ブリードアウト性を両立させた製品で、チューブ・被服への適用・展開を提案していた。

◇モリテック
 ブースの表示を英語基調とするとともに、英語と中国語の通訳も配置するなど、海外からの来場者を意識した展示となった。
 同社の特長である「金型なしでゴム加工品を1個から製作」をPRしたほか、食品産業向けの高強度・高引き裂きシリコーン製品「TMSR」、弾性を保持しつつ粘着性の改善・低摩擦性を向上させたフッ素コーティング「YMコーティング」などの製品を紹介していた。

◇岡安ゴム
 関東の顧客拡大と情報収集などを目的に、今回初めて出展した。
 展示の中心となったのは、幅広長尺EPDMスポンジ「タフロング」。通常の幅広長尺スポンジは、厚みのあるものをプレスした上でスライスする。このため皮膜はあっても片面で、しかも長さは2m程度だ。これに対し、タフロングは押出しで作ることから両面被膜で、50m以上のものも作ることができ、高加工歩留りや連続加工による高生産性が期待できる。
 用途としては高止水性であることを生かし、建築や自動車などの分野で、シール材・パッキン・緩衝材などとして使われることが見込まれている。

◇トヨックス
 今回は「ホース配管でできる生産効率UP」をコンセプトに、同社のホースと継手の豊富なラインナップを紹介した。
 ブースでは、「省エネ要求(濡れ防止と圧損防止)」、「地震不安(作業標準化と簡単施工)」、「トラブル防止対策(静電気・耐熱・結露)」の3つに分類。省エネ対策としては、一般的なホースの継手と省エネホース継手「トヨコネクタ」を使い、省エネ比較の実演を行うことで、同製品の性能をPRした。

◇十川産業
 一般工業用ホースをはじめ、塗装、食品、薬品用ホース、継手まで幅広い分野に対応できる製品を出品した。
 プラスチック成型機の金型には、冷却水の流量・温度管理が不可欠として、ホース継手「MEGAタッチ」、「カルマン渦式流量計のKSLシリーズ」などを提案。同製品群は高い冷却水の温度管理を実現した。

◇八興
 柔軟フッ素ホース‎シリーズをメインに同社が注力する製品を展示した。
 ブースでは、柔軟フッ素ホースフェルール加締品の特長をはじめ、ホース破裂の比較、ホース内層の滑り性の比較などを行い、製品性能をPRした。また、7月1日から販売を開始したkYホースシリーズの新製品「KYコイル」「KYチューブ」も出品するなど高機能・高付加価値があるホースを紹介した。

◇ホッティーポリマー
高機能な各種スーパーエンプラチューブをはじめ、各種シール材、保護材などを様々な材質・製品を提案した。
 今回注力するひとつに、「HOTTY TPXマンドレル」がある。同製品はTPX(ポリメチルペンテン:PMP)で押出成形されたマンドレル(丸棒)。「TPX(ポリメチルペンテン)」は透明性・耐熱性・耐薬品性に優れた樹脂となっている。

◇イノアックコーポレーション
 今回は材料別ではなく「音」「振動」「熱」「シール」「フィルター」「軽量」「+α」の7つの機能別の切り口で、ユニークなソリューション提案を行った。
 このうち音のコーナーでは、ウレタン・ゴム・プラスチックの吸音素材をパネルで説明。テーブルには、提案する材料で効果を体験する装置などを設置して、デモンストレーションを行った。また音をビジュアル化し、材料に評価を合わせて提案する新しいソリューションも紹介していた。

◇右川ゴム製造所
 「ゴム一筋100年・明治30年創業の老舗」という同社の歴史を表すパネルの大きな文字を背景に、最新のタブレット端末で製品を紹介する洗練された展示で、来場者の関心を集めていた。
 同社は押出成形のメーカーだが、配合設計ができる社員が4人いるため、既存の材料に機能性を持たせた材料開発を行うことができる。今回の展示では、高復元性のあるEPDMスポンジや低硬度のソリッドゴム、耐オゾン性NBRスポンジなどを製品例とともに紹介した。

◇王子ゴム化成
 英仏海峡トンネルにも採用された水膨張性ゴムシール材「アクアケル」を基に、建材向けとして開発した水膨張性発泡型ゴムシール材「アクアハイスポ」を中心に展示を行った。
 アクアハイスポはCR系ゴムを主成分とした発泡ゴムシール材に、優れた耐燃性と耐オゾン性を加えているのが特長。目地間のクリアランスが大きい個所でも十分な止水性を発揮することから、コンクリート二次製品の止水パッキンやコンクリート打継材などの用途が考えられている。

◇日興エボナイト製造所
 同社はエボナイト素材を作る国内唯一のメーカーとして、エボナイトの性能・機能をPRした
 エボナイトは、天然ゴム原料の硬質ゴムのため絶縁材料や万年筆、楽器、喫煙具等に使われる。実際に耐油性硬質発泡体「NBRフロート」を出品することで、エボナイトの特長を提案した。
 また海外からの引き合いが多いカラーエボナイトも製造できることをパネル展示などで訴求した。

◇タカヤマ
 同社はゴム成形加工のエキスパート。特に加硫接合技術は神戸市産業振興財団より高度な技術と品質を有するとして「神戸発優れた技術」に認定を受けている。
 今回は加硫接合により、ゴムと異素材とを強固に接合することによる部品・工程数の削減、不可能であった部品、製品の実現などを提案した。

◇共和ゴム
 多層成形ゴムと超軟質ゴムを紹介するパネルとともに、工業製品と健康グッズを展示した。
 多層成形とは、ゴム成形用金型の中に材料を仕込み、金型内で加硫接着させて一体化させる方法。例えば超軟質ゴムを内側に、高強度で耐久性に優れた高硬度ゴムを外側に一体成形することができ、その製品例としてパイプの継手を紹介していた。
 またEPDMを主体に、優れた耐候性・耐熱性・耐薬品性を保持していながら、圧縮永久歪みにも配慮した硬度8~20度の超軟質ゴムもPRした。

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