ダウ・ケミカル 北米に大規模エチレン生産工場を建設

2014年06月27日

ゴムタイムス社

 ダウ・ケミカル日本は6月27日、ザ・ダウ・ケミカル・カンパニーが、2011年に発表した投資計画の一環として、世界規模のエチレン生産工場の建設を6月30日に開始すると発表した。

 この建設開始は、技術力に基づく高機能品事業に投資を行うというダウの戦略上、重要な一歩となる。テキサス州フリーポートにおけるダウの大規模投資は、2017年上期を予定している稼働開始に向けて順調に進展しており、建設期間において最大2000人の雇用が創出される。

 「この世界規模のエチレン生産工場は、低コストかつ競争上有利なシェールガス原料を利用し、高い付加価値をもたらす事業の成長を実現するというダウの戦略において、基礎をなすものです。米国メキシコ湾岸地域におけるダウの投資は、ダウの世界的な成長戦略にとって重要な柱となります。ダウは、先行者としての優位性を十分に活用することで、大幅な株主還元を実行するとともに、近い将来において、100億ドルまたはそれ以上のEBITDA(金利・税金・償却前利益)目標の達成を実現します」と、同社会長兼CEOのアンドリュー・リバリス氏は述べている。

 年産能力約150万tを備える新規エチレン生産工場は、数十億ドルに上る同社の一連の投資計画のひとつ。2013年に発表したプラスチックおよびエラストマーの新設工場と合わせ、このエチレン工場は市場の成長を支え、業界を代表するパフォーマンス・プラスチック製品群の拡大を実現する。

 生産されるのは、耐久消費財、自動車用品、電線・ケーブルに使用される次世代「ノーデル」メタロセン系エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)が年産能力20万t、高機能軟包装材および衛生・医療分野に使われるホットメルト接着剤に使用される高流動特殊エラストマーが年産能力32万t、高機能軟包装材、衛生・医療に使用される「エリー卜」エンハンストポリエチレン樹脂が年産能力40万t、保護用包装材、送電システムに使用される新規特殊低密度ポリエチレン(LDPE)が年産能力35万tとなっている。

「現在30パーセントまで進展している、プロパンからプロピレンを製造するPDH(プロパン脱水素)プロジェクトと並行し、このエチレン生産工場は、ダウによる米国メキシコ湾岸地域での投資によるリターンを完全な形で得るための大きな一歩を刻むことになります。この投資により、コスト競争力の高い原料を、高利益が見込めるダウの幅広い川下事業に統合することができます。投資に対して安定した高利益を達成しているパフォーマンス・プラスチック事業部門はその一例です。ダウは、米国メキシコ湾岸地域での投資の完全操業時において、25億ドルのEBITDAを見込んでおり、長期的なダウの成長や市場におけるダウの競争力もさらに強化されます」と、同社執行副社長兼フィードストック、エネルギー、パフォーマンス・プラスチック担当社長であるジム・フィッタリング氏は述べている。

 テキサス州およびルイジアナ州における米国メキシコ湾岸地域での投資により、建設期聞のピーク時において合計で5000人の雇用が創出される。このうち、フリーポート石化コンビナートにおけるプロジェクトが雇用創出の大多数を占め、4000人が複数の原料、誘導品および関連インフラ設備の建設に従事する。

 ダウのテキサス州フリーポート石化コンビナートは、4200人以上の従業員および3800人以上の契約者が従事する、ダウにとって世界最大の統合生産拠点および北米最大の石化コンビナートとなっている。

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