旭化成ら6社がNEDO事業に採択 量子コンピュータで材料開発基盤

2026年10月29日

ゴムタイムス社

 TOPPANホールディングス、アイシン、旭化成、ソフトバンク、AGC、DICの6社は10月28日、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が公募した「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業(社会課題解決に向けた量子コンピュータ次世代機開発・実証の加速)」における「ユースケース創出に向けた大型実証」の補助事業に対し、「量子技術を用いた革新的な材料開発基盤構築の研究開発」を共同提案し、採択されたことを発表した。

 今回の採択により、6社共同で協定書を締結し、2026~2028年度まで量子コンピュータを活用した新たな材料開発基盤構築の研究開発を行う。量子コンピュータによる計算を中核とし、機械学習をはじめとするAI(人工知能)技術と統合することで、実証から社会実装へと繋ぐ次世代の革新的な材料開発基盤の構築を目指す。

 日本の化学・材料メーカーが今後も国際的な競争力を維持するためには、新しい材料の探索や開発効率を飛躍的に向上させる技術の確立が急務である。そこで近年、過去の材料データをもとにAIが新素材を予測・探索するデータ駆動型手法や、物理法則に基づいてシミュレーションする計算科学の活用が進展している。しかし、データ駆動型手法には、高品質・高精度な学習データを十分に確保することが難しいという課題がある。また、計算科学には計算精度や計算規模を高めるほど計算コストが増大するという課題がある。
 こうした課題への対応策として、量子力学の原理に基づいて動作する量子コンピュータの活用が期待されている。量子コンピュータは、同じく量子力学に従う分子や電子の性質を、従来のコンピュータよりも効率的にシミュレーションできる可能性がある。ただし、現状では量子ビット数やエラー率等に制約があるため、量子コンピュータ単独で大規模な計算を行うことは困難である。
 同研究開発では、量子コンピュータを中核とした計算とAIを組み合わせることで、計算精度・計算規模における制約の緩和や計算コストの克服を可能にする手法を構築する。材料開発向け技術は、一つの特定材料ではなく、産業的にニーズの高い幅広い材料系に対して横断的に適用し、6社がそれぞれ強みを持つ異なる領域での検証を担う。さらに、量子計算の専門機関と連携することで、幅広い材料に対する量子計算の適用性検証を進めるとともに、産業活用に向けた実用的な価値創出に共同で取り組む。

 同研究開発の概要は次の通りとなる。
 ①「量子計算の適用領域の検証」として、次世代バッテリーの開発に必要な電池材料、新たなディスプレイやセンサーの開発に必要な光機能性材料、次世代デバイスの開発に必要な超電導材料等、産業ニーズの高い複数の主要材料系を対象に、量子計算の適用可能性を検証する。
 ②「量子計算活用技術の開発」として、量子コンピュータを中核とした計算とAIを統合した技術を開発し、計算手法の適用範囲拡大や、従来の計算手法が抱える計算規模・計算コストの制約克服に向けた検証を行う。
 ③「シミュレーションの実証と実験フィードバック」として、量子計算を含むシミュレーション結果をもとに材料の合成・性能評価を行い、実験結果とシミュレーション結果を比較することで、予測精度の向上や実用化に向けた量子計算の実益を検証する。

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