ダイセルは10月7日、同社のジェットインジェクション技術を用いた腫瘍内薬物送達に関する研究成果が、国際科学誌『Pharmacological Research』に2026年9月1日付で公開されたことを発表した。
本研究は、熊本大学の産業ナノマテリアル研究所(IINa)ワンタイムエナジー共同研究講座の寺居和宏特任教授(兼、同社 研究開発本部/ライフサイエンスSBU)と、ヒトレトロウイルス学共同研究センター造血・腫瘍制御学分野の岡田誠治教授らの研究グループによって行われたものである。
本研究では、がん等悪性腫瘍治療の課題である薬液投与後の腫瘍からの漏れに注目した。複数の腫瘍モデルマウスを用いた評価の結果、ガイド付きジェットインジェクションが従来の針注射に比べて薬液の漏れを低減し、より強い腫瘍増殖抑制を示すことを確認した。
また、腫瘍内における薬液の分布および三次元画像解析から、ジェットインジェクションは従来の針注射とは異なる腫瘍内の組織変化を生じることが示された。
本研究成果は、腫瘍内投与の性能を評価する際には、注射器で押し出した名目上の薬液の投与量だけでなく、腫瘍からの薬液の漏れと腫瘍内局所保持という物理現象から捉える重要性を示した。また、腫瘍の物理特性と投与方法を組み合わせて考えることで、局所ドラッグデリバリーをより合理的に設計できる可能性を提示している。
今後、腫瘍の硬さなどの物理特性に応じて投与条件を最適化することで、より精密で効果的な腫瘍内薬物送達法の確立につながることが期待される。
