三洋化成工業は9月9日、ストックホルム条約(POPs条約)および化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)で規制されている有機フッ素化合物:PFOS、PFOA、PFHxS等を使用しない、最新の環境規制に適合した水成膜泡消火薬剤『エルシコールA77』を開発したことを発表した。
『エルシコールA77』は、規制対象外となるフッ素化合物を厳選して使用することで、規制対象PFAS不使用でありながら、厳しい消火性能が求められる国際基準「ICAO Level B」に適合する高い消火信頼性を実現した水成膜泡消火薬剤である。水成膜泡消火薬剤の使用を前提とする施設において、従来薬剤からの切り替えや更新需要に応える新たな選択肢として展開していく。
水成膜泡消火薬剤(AFFF)は、放射泡の排液として生じた水溶液が低い表面張力・油水界面張力により燃料(油)面上へ自発的に広がって薄い水成膜を形成し、泡被覆と併せて可燃性蒸気の発生・移動を抑えることで迅速に消火するとともに、消火後も蒸気シール(および冷却)が持続して再燃を防止する。
特に、従来の水成膜泡消火薬剤で用いられてきたPFOSやPFOAをはじめとする一部のPFASは、極めて低い表面張力と流動性に優れた泡形成により、優れた水膜形成能と消火性能を実現する重要な成分として長年活用されてきた。そのため、空港や大規模な危険物施設など、高い初期消火性能が求められる現場を中心に、これらのPFASを使用した水成膜泡消火薬剤が広く採用されてきた。
しかし近年、PFOS・PFOA・PFHxS等の一部のPFASに対する世界的な規制強化に加え、従来薬剤の製造に使用されてきた原料の供給環境も大きく変化しており、水成膜泡消火薬剤の更新や代替品の確保が業界全体の課題となっている。一方で、空港や危険物施設などでは水成膜泡消火薬剤を前提とした設備基準や運用基準が採用されており、また他方式への移行が可能な施設においても、高い初期消火性能や設備適合性の観点から、完全PFASフリー等の他方式への移行は容易でないケースも少なくない。
こうした中で市場からは、法令で規制される規制対象PFASを排除しながらも、水成膜泡消火薬剤として求められる高い消火性能と信頼性を維持した新たな選択肢が求められていた。同社はこうした課題に対応するため、長年培ってきた界面活性剤技術の知見を活用し、規制対象PFASを使用せずに高い水成膜形成能を実現した『エルシコールA77』を開発した。本製品は、国際基準「ICAO Level B」に適合する高い消火信頼性を有している。


