産総研が新しい光子検出原理の実証に成功 光子が生み出す磁束量子を直接観測

2026年09月07日

ゴムタイムス社

 産業技術総合研究所は9月3日、同研究所の量子・AI融合技術ビジネス開発グローバル研究センター(GーQuAT)/物理計測標準研究部門の福田大治首席研究員、量子・AI融合技術ビジネス開発グローバル研究センター(GーQuAT)量子フォトニクスハードウェア研究チーム/物理計測標準研究部門量子センサー計測研究グループ鶴田哲也主任研究員らが、光子吸収によって超伝導体中に生じる磁束量子を直接観測し、その数から光子数を識別する新しい光子検出原理の実証に成功したことを発表した。

 光子一つひとつを検出することは、光量子コンピュータや量子通信において重要な技術として位置付けられており、いくつかの方式が提案されている。研究用途には一部実用化されているほか、産業応用への組み込みが始まりつつある。今回実証したのは、従来の技術では実現し得なかった高い光子数識別能力と高速性の両立が期待される新たな光子検出原理である。
 光子が超伝導体に吸収されると超伝導位相の勾配が不安定化し、磁束量子対が発生する。発生した磁束量子が超伝導体を横切ると位相スリップが生じ、その結果としてジョセフソン効果による量子化電圧信号が発生する。本研究では、この量子化電圧信号を観測することで、光子によって生じた磁束量子の運動を直接捉えるとともに、その信号から入射した光子数を識別することに成功した。
 従来の超伝導光子数識別器は、光子吸収後に熱平衡状態に到達した際の温度変化を測定していた。一方、本技術は熱ではなく、光吸収直後に発生する超伝導位相のダイナミクスを利用する。熱的な応答を待つ時間が不要なため、従来方式を超える高速な光子数識別技術につながることが期待される。この研究成果の詳細は、2026年9月2日に米国物理学会(APS)の学術誌Physical Review Appliedに掲載され、Editor’s Suggestionに選定された。

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