産業技術総合研究所は9月1日、同研究所の化学プロセス研究部門久保史織主任研究員らが、ショ糖や果糖といった身近な糖を化学修飾することによるシンプルな工程で、ナノ多孔質カーボン材料やレイヤー状のナノ構造を有するカーボン材料が得られることを示したことを発表した。
ナノ多孔質カーボン材料は、二次電池の電極材料や触媒担体として、エネルギー課題解決に資する材料群としてその役割が注目されている。特に取り込む分子に応じて細孔の大きさや形状がそろった材料群の需要が高まっている。しかし、従来広く使われているテンプレート法は、テンプレート剤の使い捨て、さらに複雑な合成工程が課題であったほか、合成手法によっては、高温や強酸などのエネルギー消費型かつ過酷な化学プロセスに依存していた。
今回、同社の研究グループは、化学修飾の施された糖分子のみからナノ構造を有するカーボン材料を合成するという新しい手法を確立した。この手法は、単純でありながらも精密に狙った化学修飾によりアルキル鎖の導入された糖分子を原料として、水熱条件下で重縮合反応を進めるもので、従来のテンプレート剤や過酷な化学プロセスに依存しない。また、糖の種類を変えることで、球状の細孔形成のみならず、レイヤー状のナノスケールの構造体が得られることを見いだした。
この成果は、これまでの「物理的な」細孔形成であるテンプレート法から、「化学的な」細孔形成への転換を図るものであり、今後、構築された手法をプラットフォームとすることでテンプレート法では実現できないナノ構造を持つ新たなナノ多孔質カーボン材料群の設計が期待される。こうした材料をさまざまな化学反応の基材とすることで、電極材料や触媒担体材料などへの応用において従来得られなかった性能が実現する可能性がある。
なお、この研究成果の詳細は、2026年8月12日に「Journal of the American Chemical Society」にオンライン掲載された。

