積水化学工業は4月23日、iPS細胞に代表される幹細胞の培養等を安定的に実現する細胞接着ポリマー(化学合成足場材)Cegluに関して、米国食品医薬品局(FDA)のドラッグマスターファイル(DMF)に登録を完了したことを発表した。同社は、再生医療の産業化を見据えた化学合成足場材Cegluを販売しており、すでに米国および日本で培養資材事業を開始しているが、今回の登録により、Cegluは米国における再生医療等製品、細胞治療、遺伝子治療(CGT)分野の治験申請(IND)や製造販売承認申請(BLA等)において、DMF参照が可能な原材料となる。
DMFは、医薬品・再生医療等製品の原材料や製造プロセスに関する詳細情報をFDAに登録する制度である。今回のDMF登録により、Cegluを使用する製薬企業・バイオベンチャーは、自社のIND・BLA申請において当該マスターファイルを参照することが可能となり、次のようなメリットが期待される。
規制当局への説明負担の軽減、品質および安全性に関する情報の信頼性向上、開発および承認プロセスの円滑化、迅速化といったメリットが期待されている。
本登録により、Cegluが、iPS細胞に代表される幹細胞培養の研究用途から臨床・商用製造フェーズまでを見据えた、安全性、再現性、持続可能性を提供する材料として、より幅広く活用されることが期待される。世界最大の創薬市場である米国でのCeglu細胞接着プラットフォーム展開を加速し、再生医療の実用化の加速に貢献していく。
CegluはiPS細胞の培養が可能な化学合成ポリマーで、溶液化してさまざまな素材の表面をコーティングできる。タンパク質と比べて高い室温安定性を持ち、コールドチェーンを必要としない。また、動物成分を含まず高い安全性を備え、米国薬局方および日本薬局方に準拠したプラスチックに係る安全性試験に合格している。
同社は、コーティング剤であるCeglu coating solutionとコーティング済みプレートのCeglu culturewareを提供し、ラボスケールから製造スケールまで一貫した細胞接着プラットフォームを構築することを目指している。これまでの活用事例として、iPS由来心筋細胞への分化や自動培養装置との組み合わせによる細胞品質の再現性向上、不織布やマイクロキャリアへのコーティングによる細胞培養のスケールアップ等がある。

