旭化成エレクらが赤外線レーザー発振に成功 高指向性・狭帯域光源を実現

2026年03月13日

ゴムタイムス社

 旭化成エレクトロニクスは3月12日、同社と京都大学高等研究院の野田進特別教授らのグループが、2µm帯赤外線フォトニック結晶レーザーの発振に成功したと発表した。PCSELは小型でありながら高出力・高指向性・高機能性を特長とする次世代の半導体レーザーであり、PCSELによる2µm帯レーザーの実現により、生体内物質の非侵襲センシング、がんリスク研究への応用など、従来技術では適用が難しかったアプリケーションへの展開を目指す。
 京都大学高等研究院、野田進特別教授が発明したPCSELは、フォトニック結晶がもつ光制御機能により、従来のレーザーと比較し、小型でありながら高指向性・狭帯域・高輝度を同時に実現できるのが特徴となる。同社はこれまで蓄積した化合物半導体技術を活用し、共同研究を通じ、光源構造の最適化を進めることで、PCSEL構造での2µm帯レーザー発振を実現した。
 このたび、測定したレーザー発振特性から、PCSELがもつ高指向性・狭帯域といった特長を2µm帯において確認した。ビームパターンは今回のフォトニック結晶設計に基づく一例であり、設計により単峰状を含む多様なビーム制御が可能となる。今後、フォトニック結晶構造のさらなる最適化により、応用展開に向けた性能向上が期待される。
 想定される応用領域は以下の通り。医療・ヘルスケア分野、健康モニタリングの高度化では、小型な2µm帯のレーザー光をセンシングに使用することで、ウェアラブルデバイスによる生体内物質の非侵襲なセンシングや、呼気に含まれるガス成分(VOCs、アセトン等)の検知を通じた健康モニタリングなどへの展開が期待される。
 環境モニタリング、温室効果ガス等の高感度・微量定量測定では、2µm帯にはCO2や CH4などの吸収線が存在、PCSELの高指向性・狭帯域特性を組み合わせることで、CO2・CH4などの温室効果ガスを対象とした微量ガスを高精度で測定することが求められる領域での応用が期待される。
 通信/LiDAR、安全性と高性能化への貢献では、2µm帯の赤外線はアイセーフ性(目への安全性)の観点からも注目される波長帯であり、PCSELの高指向性と組み合わせることで、高性能LiDARや次世代通信の発展に寄与する可能性がある。
 今回の成果を踏まえ、同社は2µm帯PCSELの研究開発をさらに加速させる。より高度なフォトニック結晶構造の採用を含めた光源構造の最適化を進め、高指向性・狭帯域・高輝度動作の実現を目指す。
 また、実用化に向けて量産性の検証も進めていく。これらの取り組みを通じて、ヘルスケア、環境モニタリング、通信、LiDARなどの領域における応用可能性を検討し、次世代センシング技術の進展に貢献していく。
 同技術に関する研究成果については、2026年3月の応用物理学会での発表を予定している。

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