デンカがスタートアップ企業へ出資 導電性ポリマーの共同開発

2025年11月27日

ゴムタイムス社

 デンカは11月25日、ペガサス・テック・ベンチャーズと共同で運営するコーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)ファンドを通じて、導電性ポリマー「PEDOT/PSS」の開発・製造・販売を手がけるスタートアップ企業「クレバ」へ出資することを決定したと発表した。
 PEDOT/PSS は、優れた電気伝導性・透明性・柔軟性を持つ導電性ポリマーの一種となる。コンデンサ用途に加え、近年の次世代ディスプレイやフレキシブルデバイスの需要拡大を受け、タッチパネルや有機EL、ペロブスカイト太陽電池等、次世代の産業インフラを支える素材として期待されている。
 クレバは、独自の製法とノウハウを活かした導電性ポリマー「PEDOT/PSS」の原液製造から配合(調合)液の開発までを一貫して行う国内唯一の企業であり、同分野において垂直統合型の生産体制を確立している。クレバが開発するPEDOT/PSS は、コンデンサ、次世代ディスプレイ、フレキシブルデバイス、再生可能エネルギー関連デバイス等の分野で、次世代の技術革新を実現する素材として注目されている。
 同社は長年にわたり培ってきた高分子合成技術を活かし、分子設計・重合制御・複合化技術において豊富な知見を有している。これらの技術は、導電性ポリマーの性能向上や用途拡大において大きな可能性を秘めており、今回の出資を通じて、高性能の導電性ポリマーの共同開発、新規用途への展開、製造プロセスの構築等、持続可能かつ新たな価値創出を目指していく。
 今回の出資は、同社が推進する経営計画「Mission 2030」に基づく新事業創出に向けた取り組みの一環として行うものであり、革新的な素材・技術を持つスタートアップとの連携を通じて、持続可能な社会の実現と新規事業創出を目指すものとなる。なお、同社のCVCファンドは2023年に設立され、2030年度までに最大で約1億米ドルの投資を計画している。
 両社の技術的シナジーにより、次世代エレクトロニクス分野等の急成長する市場への対応力を強化し、グローバル展開を加速していく。
 今後も同社は、「化学の力で世界をよりよくするスペシャリストになる」というパーパスのもと、世界に誇れる化学技術を通じて、人々の暮らしと社会に貢献していく。

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