積水化学らが共同検証開始 間葉系間質細胞の大量培養

2025年10月09日

ゴムタイムス社

 大阪サニタリーと積水化学工業は10月8日、再生医療の産業化に貢献する、マイクロキャリアを用いた間葉系間質細胞(MSC)の大量培養に関する技術の共同検証を開始すると発表した。
  間葉系間質細胞(MSC)は、骨髄や脂肪組織から得られる細胞で、高い増殖能とともに神経や骨などさまざまな細胞に分化する分化能を有している。現在、MSCの大量培養には二次元の多層容器が用いられることが多いものの、操作の煩雑さやスケールアップの技術的限界から、マイクロキャリアを活用した大量培養技術の確立が望まれている。
 大阪サニタリーは、創業以来培ってきた装置技術を生かして、振盪攪拌により剪断力を低減した細胞培養装置Aiーgenmixを販売しており、積水化学グループの積水成型工業と共同で、最大容量を500mlから3Lにスケールアップした大容量モデルを開発している。この度の大量培養技術の確立にあたっては、積水成型の3Dシングルユース滅菌バッグ「ステリテナープラス」の活用を検討している。
 積水化学は、これまで培ってきた材料技術を通して、多能性幹細胞の培養等を安定的に実現する化学合成足場材Cegluを開発、発売した。さらに、精緻な微粒子製造技術とCegluを組み合わせた、新しいコンセプトのマイクロキャリアを開発している。品質にばらつきのない化学合成足場材を均一にコーティングしたマイクロキャリアの活用により、従来よりも安定的な大量培養が可能になる。
 これらの技術を持ち寄ることにより、それぞれの得意分野における知見と技術を生かし、マイクロキャリアを用いて安定的にMSCを大量培養するプロセスの確立に取り組み、検証していく。得られた成果を迅速に再生医療に関する研究機関へ還元し、再生医療の産業化の実現を目指す。

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