住友ゴム工業は8月29日、自動車の走行時にタイヤと路面の摩擦によって発生する粉じん(TRWP:Tire and Road Wear Particles タイヤ・路面摩耗粉じん)に対する取り組み成果を、国内外の学会で発表した。
同社は、TRWPが環境に及ぼす影響の解明と低減を重要課題と認識し、タイヤの耐摩耗性を高めることでTRWP発生量の低減に取り組んできた。現在はTRWPの①発生、②拡散、③蓄積の3段階に着目して調査と研究を進めており、このたび「①発生」のメカニズムと「②拡散」の抑制に関わる研究について、発表した。
科学的データに基づくアプローチを通じて課題と真摯に向き合い、タイヤメーカーとしての社会的責任を果たすべく、環境負荷の低減に取り組んでいく。
TRWPとは、自動車の走行時にタイヤと路面の摩擦によって発生する微細な粉じんで、主にタイヤのトレッド部材と道路舗装材からなる混合物である。タイヤは自動車部品で唯一路面と直接接触し、車両と乗員の荷重を支えながら、「走る(発進する)」「曲がる」「止まる」といった、安全な走行を支える基本的な機能を担っている。これらの機能を成立させるには、タイヤと路面の間に適切な摩擦が生じていることが不可欠となる。ただし、自動車の走行に伴いTRWPが①発生、環境中に②拡散、さらに③蓄積することで、環境にさまざまな影響を及ぼす可能性が指摘されている。
同社は、TRWPの発生から環境中での挙動までを包括的に捉え、外部の研究機関や企業と連携しながら、①発生:TRWPの形成メカニズムの解明、②拡散:TRWPの特性解明と拡散抑制の研究、③蓄積:環境中のTRWPとマイクロプラスチックの定量分析の各段階に焦点を当てた研究を進めている。
TRWPは未解明な点が多く、特に環境への影響はさらなる研究と検証が求められている。同社はTRWPに関する調査研究、評価手法の確立、ステークホルダーとの対話などに取り組んでいる。また、一般社団法人日本自動車タイヤ協会(JATMA)や一般社団法人日本ゴム工業会(JRMA)の一員として、TRWPの評価に関するISO規格の策定にも関与している。
同社は業界団体での活動に加え、今回の発表内容など独自の研究にも取り組んでいる。科学的データに基づくアプローチを通じてTRWPに関する課題と真摯に向き合い、環境負荷の低減と社会的責任の遂行に努めていくとしている。

