出光興産が事業化検証契約締結 カーボンクレジット創出を推進

2025年08月07日

ゴムタイムス社

 出光興産とGreen Carbonは8月5日、フィリピンのイザベラ州におけるカーボンクレジット創出プロジェクトの事業化検証に関する契約を締結したと発表した。この締結により、出光興産は同プロジェクトへ出資を行い、Green Carbonは事業化に向けた検証を行う。なお、同プロジェクトで得られたカーボンクレジットは二国間クレジット制度に基づき、フィリピンと日本へ配分される。
 日本に配分されたカーボンクレジットのうち、出光興産の取得分は主に自社の排出量削減への利用を、Green Carbonの取得分は日本市場での販売を予定している。
 フィリピンの農業分野におけるメタンをはじめとする温室効果ガスの排出量は、年間約5400万tに達している。そのうちの約25%を占める約1300万tが水田からの排出に由来しており、削減が求められている。水田からのGHG排出量が多い要因として、フィリピンの稲作の手法が関係している。
 フィリピンの稲作では水田に常に水を張っており、土壌に酸素が供給されない。水田に存在する、メタンを排出する微生物は酸素の無い環境下で活動が活発になるため、フィリピンの稲作手法ではより多くのメタンを排出してしまう。
 一方で、一般的に日本の稲作では水田を定期的に乾燥させて土壌に酸素を供給する間断灌漑を行っているため、フィリピンの水田と比較してメタンの排出量が抑えることができている。
 同プロジェクトではフィリピンの稲作に間断灌漑を導入することで、水田由来のメタン排出量を削減する。さらに、間断灌漑によるメタン排出量を削減するだけでなく、二国間クレジット制度に則ったクレジット発行までの運用確認など、カーボンクレジット創出の事業化に向けた検証をフィリピンの関係機関の支援を得ながら推進する。
 なお、同プロジェクトの排出削減量の算定には、JCM(Joint Crediting Mechanism)方法論「PH_AM004 Ver1.0(水管理による水田からのメタン排出削減)」を適用する。
 また、検証はJCM認定の第三者機関を選定し、信頼性と透明性を担保してプロジェクトを進める。
 両社は、フィリピンの農業分野におけるGHG排出量の削減に貢献しながら、カーボンクレジット創出事業の検証を推進し、2026年の事業化を目指す。

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