三菱ケミ、栄養・病理学研と共同研究 H・コアグランス摂取でブタ増体

2025年07月02日

ゴムタイムス社

 三菱ケミカルと栄養・病理学研究所は6月30日、有胞子性乳酸菌プロバイオティクスであるHeyndrickxia coagulans SANK70258(H・コアグランス)が、ブタの腸管バリア機能の増強を介して成長成績を向上させることを明らかにしたことを発表した。この研究成果論文は年5月28日「Frontiers in Veterinary Science」に掲載された。

 H・コアグランスは、一般的な乳酸菌とは異なり、胞子を形成するため、酸や熱に強く、菌が死滅せずに腸で発芽して増殖するという特性を持っている。同社は、飼料価格高騰や各種の感染症など飼養管理を取り巻く諸問題に対するソリューションの提案を目指して、H・コアグランスの研究開発を展開してきた。これまでに、ブロイラーにおいてH・コアグランスによる腸管バリア機能の亢進(こうしん)作用が増体に寄与することが明らかになっている。今回、ブロイラーに次いで消費量が多いブタにおいて同作用が認められるか検討を行った。
 介入試験を実施したところ、H・コアグランスを摂取させたブタにおいて、摂取させていないブタと比較して、日増体量の増加および飼料要求率の低下、腸管バリア機能の亢進と安全性が認められた。このことから、H・コアグランスの摂取が腸管バリア機能の亢進を介してバクテリアルトランスロケーションを抑制することで、ブタの増体につながる可能性が見出された。

 H・コアグランスに関しては、ヒト、魚類、畜産動物を対象として免疫機能・腸管バリア機能の強化、腸内細菌叢改善作用による健康増進等に寄与することが報告されており、さまざまな生物種に対して同作用を有する可能性が示唆されている。また一連の研究成果は、将来的な畜産動物に対する抗菌剤の使用量削減につながる可能性を示している。同社は、引き続き詳細なメカニズムを検証していくとともに、有効性についても評価していくとしている。

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