UBEが臨床試験で好結果 共同開発の感染症治療薬

2025年02月03日

ゴムタイムス社

 UBEは1月30日、塩野義製薬と共同開発を進めている新規respiratory syncytialウイルス感染症治療薬Sー337395が、第2相臨床試験(ヒトチャレンジ試験)において、主要評価項目を達成したことを発表した。

 本試験はRSウイルスを能動的に接種させた健常成人を対象に実施した、無作為化、プラセボ対照二重盲検比較試験。Sー337395を1日1回、5日間経口投与した際の抗ウイルス効果および安全性を評価した。
 Sー337395投与群はプラセボ投与群に対して、統計学的に有意なウイルス量の減少を示し、主要評価項目を達成した。Sー337395の最高用量群ではウイルス量を88・94%減少させ(P<0・0001)、統計学的に有意な臨床症状スコアの改善を示した。また、安全性・忍容性は良好であった。

 Sー337395は、経口の新規RSウイルス感染症治療薬であり、RSウイルスの複製に必須なLタンパク質の活性を阻害し、ウイルス増殖を抑制することで効果を発揮する。また、本剤は、米国食品医薬品局よりファストトラック指定(Fast Track designation)を受領している。

 RSウイルスは、鼻、喉、肺などの呼吸器に感染するウイルスであり、乳幼児においては細気管支炎や肺炎などの重篤な病気を引き起こすことで知られているが、高齢者や基礎疾患を有する方においても、高い入院率や死亡率がみられ、深刻な呼吸器疾患の原因として、近年問題視されている。米国におけるRSウイルス感染症の潜在患者は、乳幼児と高齢者を合わせて、年間300万人以上いると推定されている一方で、RSウイルスに対する有効な抗ウイルス薬は存在せず、アンメット・メディカルニーズが高い疾患の1つ。
 同社は、Sー337395の開発を加速することで、1日でも早くRSウイルス感染症に苦しむ患者に提供できるよう努めていくとしている。

 スペシャリティ化学を志向する同社において、医薬事業はライフサイエンス分野の中核事業となるべく、創薬研究事業では従来の低分子医薬品の他、ADC(抗体薬物複合体)などの高付加価値創薬に挑戦している。また、CDMO事業では既存の低分子医薬品分野を拡充すると共に、新規モダリティの製造技術を駆使した核酸医薬品等を通じて、人々の生命・健康を守る手段を提供していく。

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