東洋紡が大阪大学と共同開発 高周波伝送向けの電子回路基板

2024年12月04日

ゴムタイムス社

 東洋紡は12月2日、6G通信の実用化に貢献する、高耐熱性ポリイミドフィルム「ゼノマックス」を活用した高周波伝送向けの電子回路基板を、大阪大学大学院工学研究科附属精密工学研究センターと共同開発したと発表した。
 同件の成果について、2024年3月に開催された、エレクトロニクス実装学会が主催する「第38回エレクトロニクス実装学会春季講演大会」で口頭発表し、このほど「優秀賞」を受賞した。
 同社の「ゼノマックス」は、ガラスと同等で、かつポリマーフィルムとして世界最高レベルの寸法安定性を有する高耐熱性ポリイミドフィルムとなる。「薄い」「軽い」「曲がる」フィルムの特性を生かすことで、これまで有機ELディスプレーや電子ペーパーなどの回路基板材として採用されてきた。
 同社と大阪大学は共同で、元来他素材と非常に接着しづらいPTFEの補強材として「ゼノマックス」を用いるため、大阪大学大学院工学研究科附属精密工学研究センターの大久保雄司准教授らの研究グループが開発した、PTFEの表面粗さを増加することなく接着性を向上させる特殊プラズマ処理技術と、同社独自の材料技術や製膜技術を駆使した「ゼノマックス」を応用。両者の技術の融合により伝送損失の低減と寸法安定性を実現した、6G通信向け電子回路基板の開発に成功した。
 このたびの共同開発の成果について、同社と大阪大学は2024年3月開催の「エレクトロニクス実装学会第38回大会」において、テーマ名「PTFEと低CTEポリイミドの直接接着法および低伝送損失基板の開発」として口頭発表(一般講演)を行い、100件を超える発表の中から、実用性が高く特に優れた取り組みとして「優秀賞」を受賞し、9月12日に名古屋市の大同大学で開催された授賞式において表彰された。
 同社は今後、高速通信ネットワーク機器の性能の向上に貢献する電子回路基板の実用化に向けて、大阪大学と連携しながら取り組みを加速し、6G通信の早期の実現に貢献できるよう努めていく。また、高い寸法安定性と耐熱性を有する「ゼノマックス」の特長を生かした、新たな用途展開を進めていく。

ゼノマックス

ゼノマックス

授賞式の様子

授賞式の様子

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