出光興産最高ランク取得 北海道製油所のPC

2024年04月15日

ゴムタイムス社

 出光興産は4月12日、北海道製油所の操業機能を集中管理するプロダクションセンター(PC)が、BELS(建築物省エネルギー性能表示制度、Building Energy-efficiency Labeling System)における5段階評価の最高ランク(星5)と「ZEB(Net Zero Energy Building)」認証を取得したと発表した。
 今回の認証は、PCのZEB化に向けた改修工事の設計段階で、エネルギー削減率109%を達成したことなどが評価された結果となる。
 ZEBとは、快適な室内環境を実現しながら、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物のこと。BELSは、新築・既存の建築物における省エネルギー性能を第三者評価機関が評価・認定する制度であり、一次エネルギーの削減率に応じて評価される。再生可能エネルギーの利用を含め、削減率が100%以上である建物が最高ランクである5★「ZEB」認証を受けることができる。
 同社は、北海道製油所のPCのZEB化を目的とする改修工事を、本年2月に開始した。北日本地域における既設建物としては最大規模である同改修は、建物のエネルギー効率を向上させるだけでなく、室内の快適性を維持しながら、より持続可能な運用を実現することを目指している。同改修において、建物自体の消費エネルギーの削減と太陽光発電設備の導入により109%のエネルギー削減率を達成し、BELSの最高ランクを取得することができた。
 特に冬季の寒さが厳しい北日本地域では、建物の暖房効果を最大限に引き出し、エネルギー消費を削減することが重要となる。また、再エネ電力の確保方法や、PCの特殊な立地条件を考慮した改修といった困難な課題があったが、以下の工夫によりこれらをクリアすることができた。
 1つ目は、空調設備に工場排熱を組み合わせることで、エネルギー消費量を削減した。一般的に、室温と外気温の温度差が大きいほど、空調のエネルギーは増大することから、特に寒冷地は冬期間の暖房にエネルギーを要す。そこで、消費エネルギーを最小にするため、製油所排熱を利用した「余熱交換器」、内気と外気を熱交換する「熱交換器」、再エネ電力を利用した「ヒートポンプ」を適切に組み合わせた。特に、北日本地域の厳冬期においては最低温度がマイナス10℃を下回ることもあり、熱交換器の性能を十分に引き出せない場合があるが、熱交換器の性能を最大限に引き出すためには、外気を熱交換器へ送気する前に予熱しなければならない。製油所から出る排熱を外気の余熱へ利用することで、エネルギー消費量を抑えることを企図している。
 2つ目は、土地の有効利用を考慮したソーラーカーポートによる再エネ電力の確保。PCの ZEB化には、太陽光発電の敷地面積として3000㎡程度が必要になる。北海道製油所は、再生可能エネルギーによるグリーン水素の製造、CCUSによるCO2の資源化、合成燃料の製造などを検討する中、こうした将来計画に影響を与えることのないよう、敷地を有効活用した配置を検討する必要がある。そこで、製油所敷地内の所員用駐車場にソーラーカーポートを設置することで、製油所の敷地を有効活用した再エネ電力の確保を実現した。
 3つ目は、PCの機能に影響を与えない設計。PCは高圧ガス・危険物をはじめとする危険な物質を大量に取り扱う装置群の中に位置しており、装置の不具合による爆風圧に耐えられる設計が求められる。また製油所で、毒性の流体も取り扱っていることから、毒性ガスを PC内へ侵入させない構造とするため、外壁に容易に貫通穴を施工できない。さらに、24時間365日停止することはなく、常に従業員が在籍する建屋のため、耐震補強工事などにより、PCの機能を損なわないような工事設計が必要だった。そこで、貫通穴が最小限となるように、耐爆性能に影響を与えず、かつPC内に毒ガスが侵入しない空調及び換気設備の配置とした。また、設備の配置においても、構造安全性に問題がないことを確認し、耐震補強工事が不要で、PCの機能を損なうことがない工事設計を行った。
 同社は「中期経営計画(2023~2025年度)」で、既存の製造拠点を新たな低炭素・資源循環エネルギーハブへと転換するCNXセンター化構想を掲げている。構想実現に向け、各製油所・事業所の既存設備や技術、人財を活用しながら、次世代エネルギーの供給に向けた実証やサプライチェーンの構築を推進する。北海道製油所は、PCのZEB化等の取り組みを通じ、再生可能エネルギーのマネジメントに関するノウハウを蓄積することで、CNXセンター化を推進する。

ベルス認証プレート

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