レゾナックらが正式決定 船舶へ燃料アンモニア供給

2024年04月12日

ゴムタイムス社

 レゾナックは4月10日、日本郵船、JERA、新日本海洋社、東京パワーテクノロジーとともに、本年6月に竣工する予定のアンモニア燃料タグボート(A―tug)に対して、5 月下旬に燃料アンモニアの供給を実施することを正式に決定したと発表した。Truck to Ship方式での船舶への燃料アンモニアの供給は世界初となる。
 2023年12月に日本郵船、JERA、同社の3社で燃料アンモニアの船舶への供給に向けた共同検討に関する契約を締結した。その後安全な運用方法の確立、港湾地区への輸送・受け入れ態勢の構築、供給に関する諸ルールの形成に向けた関係各所への働きかけなどを、協力して取り組んできた。
 このたび、安心・安全な燃料アンモニアの船舶への供給の目途が立ったことで、タンクローリー車から竣工間近のA―tugへアンモニアを横浜港にて供給することを決定した。この供給は5月下旬に行うことを予定している。供給する製品は同社の低炭素アンモニアで、家庭や企業からゴミとして排出される使用済みプラスチックを原料の一部に使用して製造している。
 なお、アンモニアの製造過程で発生する二酸化炭素は、すべてドライアイスや炭酸飲料等の原料に活用するなど資源循環を実現している。
 発表式は、4月10日に、東京ビッグサイトで開催している日本最大の国際海事展「Sea Japan 2024」で実施した。式典には、同社足立浩業務執行役基礎化学品事業部長、日本郵船の横山勉執行役員、JERAの加藤雄一郎LCFバリューチェーン統轄部長、新日本海洋社の加藤毅代表取締役社長、東京パワーテクノロジーの嶋田修執行役員をはじめとする関係者が出席した。
 基礎化学品事業部長足立浩氏は、「世界初のアンモニア船への燃料供給に携われることを大変光栄に思っている。当社の役割は、燃料に使われるアンモニアを安定的に生産し、船舶まで安全に輸送を行うこと。当社は1931年に川崎事業所で日本最初の国産技術を使ったアンモニアの生産に成功して以来、90年以上にわたり日本のアンモニアの安定供給に貢献してきた。長年蓄積されたノウハウを活かし、本プロジェクトに貢献していく。 今回のプロジェクトで供給するアンモニアの一部は、使用済みプラスチックをリサイクルしたもので、環境に配慮した製品。当社はガス化ケミカルリサイクルによる低炭素なアンモニアを20年以上の長期にわたり生産しており、本プロジェクトのコンセプトである脱炭素にもマッチする、アンモニアを提供できることを大変嬉しく思う。」とコメントしている。

(左から、日本郵船 横山勉執行役員、JERA加藤雄一郎LCFバリューチェーン統括部長、新日本海洋社加藤毅代表取締役社長、東京パワーテクノロジー嶋田修執行役員、レゾナック足立浩業務執行役基礎化学品事業部長)

(左から、日本郵船 横山勉執行役員、JERA加藤雄一郎LCFバリューチェーン統括部長、新日本海洋社加藤毅代表取締役社長、東京パワーテクノロジー嶋田修執行役員、レゾナック足立浩業務執行役基礎化学品事業部長)

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