島津製作所、質量分析計発売 世界初の化学構造解析を実現

2023年12月25日

ゴムタイムス社

 島津製作所は12月21日、世界で初めて脂質や天然化合物の詳細な構造解析を実現する四重極飛行時間型質量分析計「OAD-TOFシステム」を同日発売すると発表した。独自のイオン解離技術「OAD」(Oxygen Attachment Dissociation、酸素付着解離)が、従来は困難だった炭素間二重結合の位置推定を可能とする。OADは同社エグゼクティブ・リサーチ フェローの田中耕一氏が所長を務める田中耕一記念質量分析研究所にて開発された。
 化合物の評価や探索において、炭素同士が強く結び付く箇所(炭素間二重結合)は化合物の特性を決定する重要な因子。例えば、脂質は動脈硬化リスクの低減が期待されるオメガ3など多数存在するが、脂質の機能は炭素間二重結合の有無やその位置などによって異なる。医薬・食品分野の研究開発では炭素間結合位置を含む構造解明が必要だが、従来手法では困難だった。
 「OAD」は原子状の酸素をイオン化した試料と反応させることで、炭素間の二重結合を特異的に解くことができる(解離)。解離によって生まれたイオン片から、炭素間二重結合位置の情報を得ることができ、四重極飛行時間型質量分析計(Q-TOF型MS)は、原子・分子レベルに分けた試料の大きさや量を測定することで、精密な化合物情報を得ることができる。両者を組み合わせることで、脂質や天然物などあらゆる化合物の構造解明につながる。同社は今後も製品の提供を通じ、ヘルスケアやライフサイエンス分野の研究の発展に貢献していく。

四重極飛行時間型質量分析計

四重極飛行時間型質量分析計

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