三菱ケミがHondaと共同開発 自動車ボディ用新アクリル樹脂

2023年10月27日

ゴムタイムス社

 三菱ケミカルグループは10月26日、本田技研工業(Honda)と共同で自動車ボディ部品用PMMA(ポリメチルメタクリレート(アクリル樹脂))材料を開発していることを発表した。2023年10月28日から11月5日に東京ビッグサイトで開催されるジャパンモビリティショー2023のHondaブースにて、同開発品を使用したコンセプトモデル「SUSTAINA-C Concept(サステナ・シー コンセプト)/Pocket Concept(ポケットコンセプト)」が展示される。
 現在、自動車ボディ用の素材は一般に鋼板が使用されているが、自動車のドア、ボンネット、フェンダーなどに適用できるような新たなアクリル樹脂材料を開発している。同樹脂材料は、アクリル樹脂にゴム粒子をコンパウンドすることで、自動車ボディに求められる耐衝撃性の向上を図っている。
 また、アクリル樹脂は透明性が高く、さまざまな色に調色できるため、着色剤を配合するだけで光沢のある表面を作ることができる。塗装工程が不要となることで、その工程で発生するCO2排出量削減にも貢献する。
 加えて、アクリル樹脂は加熱により高収率でアクリル原料に分解できるリサイクルに適した樹脂であり、同社グループは2025年度のリサイクルプラント稼働開始を視野に、アクリル樹脂ケミカルリサイクルの事業化を目指している。Hondaおよびマイクロ波化学と協力して実施した、テールランプtoテールランプの水平リサイクルの実証実験では、従来品に劣らない品質のリサイクル品が得られた。実証したリサイクル技術における製品ライフサイクル全体のGHG排出量は、従来品よりも50%程度削減できると見込んでいる。今回開発した新たな樹脂材料にもリサイクルアクリル樹脂を使用している。
 同社グループの三菱ケミカルは、アクリル樹脂ケミカルリサイクルの事業化に先立ち、リサイクル 原料およびそのリサイクル原料を用いたアクリル樹脂に関する複数の特許について国際出願を行っている。これらの出願は、従来品に劣らない品質を満たす上で必要となる技術に係るものであり、すでに日本では複数の特許権を取得済みで、現在、各国での権利化を進めている。
 同社グループは、今後もさらなる技術開発を進め、高付加価値な製品を提供するとともにサステナブルな社会の実現に貢献していく。

ゴム粒子を配合したしなやかな質感

ゴム粒子を配合したしなやかな質感

樹脂化による新たなデザイン

樹脂化による新たなデザイン

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