旭化成、北米で試験販売開始 変性PPE、3DP用フィラメント

2023年10月20日

ゴムタイムス社

 旭化成は10月19日、3Dプリンター(3DP)用フィラメントを北米で試験販売を開始したことを発表した。今回は変性PPE(ポリフェニレンエーテル)樹脂製品である「ザイロン」のフィラメント製品から提供を行い、今後はPP(ポリプロピレン)樹脂製品である「サーミレン」フィラメントのラインアップを予定している。また、並行して概念実証を進めている設計・シミュレーションサービスについても3DP業界向けに提供を行う計画。
 3DPの市場規模は2022年以降も年平均20%超の成長が予測されている。既に欧米の自動車OEMでは3DP部品の利用が進んでおり、試作用途のみでなく量産用途でも搭載されており、今後は更なる自動車用途での展開やE&E用途(電気・電子)での利用拡大が見込まれている。
 同社は3DP業界に向けてフィラメントビジネス、および、設計・シミュレーション支援ビジネスのグローバル展開を計画中であり、まずはフィラメントの販売検証を3DPの世界最大かつ先端市場である北米から進めていく。
 フィラメントビジネスについては、同社では、機能樹脂事業においてこれまで培ったアロイ技術、コンパウンド製法技術により顧客仕様に応じ多様なニーズに対応する樹脂製品を提供し続けてきた。新たな分野として注目される3DP向けフィラメントにおいても、これらの技術を活用することで、顧客や市場のニーズに合わせた製品の開発が可能となる。今回試験販売を開始した変性PPE樹脂ザイロン3DP用フィラメントは、造形性(低反り・寸法安定性)・耐熱性・絶縁性に優れ、更に耐衝撃性を併せ持つグレード。今後、PP樹脂サーミレン3DP用フィラメントの試験販売も予定している。
  設計・シミュレーション支援ビジネスについては、同社はこれまで主にエンジニアリングプラスチック製品を対象とした樹脂CAE(Computer Aided Engineering)技術サービスにより、ユーザーの製品の設計開発を総合的にサポートしてきた。同社の樹脂CAE技術サービスはその精緻さに定評がある。また、今後さらにタイムリーかつ適切に要望に応えるため、同社は3Dプリンティングソフトウエアを開発するCastor社に出資参画し、高度なシミュレーションの自動化を含めた、両社のサービス拡張に向けたPoC(概念実証)を進めていく。
 同社はユーザーの要望に応じた3DP向けフィラメントの提供と、部品設計用樹脂CAE技術サービス提供を通じ、最適かつ持続的なモノづくりができるグローバルな体制の実現を目指していく。

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