デンカ、助成金交付が決定 低炭素アセチレン製造技術で

2023年08月10日

ゴムタイムス社

 デンカは8月9日、xEVのリチウムイオンバッテリー等に使用される高機能導電助剤であるアセチレンブラックの国内供給体制の強化拡充について、6月16日に経済産業省の蓄電池に係る供給確保計画の認定を受け、それに伴い、8月8日に国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構より正式に助成金の交付が決定したことを発表した。
 同社は2023年度よりスタートした経営計画「Mission2030」において、スペシャリティ、メガトレンド、サステナビリティの3要素をそなえた「3つ星事業」100%を目指すとともに、CO2排出量60%削減(2013年度比)をKPIとして掲げている。同社主力製品の一つであるアセチレンブラックは、原料となるアセチレンをカーバイド法・石油化学法の2製法で製造しているが、同社グループ3か所の製造拠点のうち、大牟田工場で採用しているカーバイド法は製造過程でのCO2発生量が多いという課題があった。
 同社はアセチレン関連製品の製造におけるCO2排出量の低減(低炭素化)を目的として、米国のベンチャー企業であるTransform Materials社のマイクロ波プラズマを用いたメタン(炭化水素)からアセチレン・水素を製造する技術の量産化に関する共同開発契約を締結している。本助成金を一助としてTransform Materials社の実証・研究設備を導入し、低炭素アセチレンの量産技術構築に向けた開発を進めていく。
 アセチレンブラックは、超高純度で高い導電性能を有することから、モビリティの電動化と蓄電池の高性能化を支える重要素材として今後も需要の急伸が見込まれており、原料であるアセチレンを低環境負荷かつ安定的に確保する製法の確立は、蓄電池の国内サプライチェーン拡充という日本政府の戦略に合致する。また、同社は、2050年カーボンニュートラルの実現を目指しており、アセチレンチェーンにおけるCO2排出量の低減は、その達成へ向けた欠かせない取り組みのひとつとなっている。
 同社はこれからも、「化学の力で世界をよりよくするスペシャリストになる」というパーパスのもと、世界に誇れる化学で、人々の暮らしと社会に貢献し続ける。

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