出光興産の子会社が米Hatch社と ブルーカーボン事業の共同検討開始

2023年08月08日

ゴムタイムス社

 出光興産は8月7日、同社100%子会社である出光アメリカズホールディングスを通じ、Hatch Blue (Hatch社)と、日本でのブルーカーボン事業の創出に向けた共同検討を本年8月より開始すると発表した。
 同取り組みは日本の地域創生に資する低炭素・脱炭素事業の創出および知見の獲得を目的としており、共同検討と同時に、Hatch社が組成したファンド「Blue Revolution Fund」へ出資する。
 2050年のカーボンニュートラル実現には、CO2の排出量を削減するだけでなく、マイナス(吸収)するネガティブエミッションに関する技術の構築と事業の創出も不可欠となる。
 同社はCO2の新たな吸収源として、ブルーカーボンに注目した。
 ブルーカーボンとは、ワカメやアカモクなどの海藻、アマモなどの海草、湿地・干潟、マングローブ林の働きによって海中に吸収され、貯蔵した炭素のこと。海に囲まれた日本の地理的特性を生かせる新たな技術として、期待が高まっている。
 Hatch社は世界各地に拠点を持ち、海洋資源分野のスタートアップ企業に投資を行っている。最先端技術の動向把握と先見性、そして人脈に定評がある。
 Hatch社はファンドを組成するとともに、世界中の企業・アカデミアとの共同研究・事業に取り組んでおり、海洋資源の他に、海藻、海草といったブルーカーボン生態系に関する高い専門性を有す。
 同社がこのたび出資した「Blue Revolution Fund」は、世界的な自然保護団体(非営利団体)のThe Nature Conservancyも参画しており、海洋資源における生物の多様性、気候変動問題、水産資源の活用、漁業の振興といった環境・社会課題への価値創出を目指している。
 同社は Hatch社が組成したファンドへの出資および協業を通じ、海洋資源分野における低炭素・脱炭素事業の創出に取り組む。
 同取り組みの特徴は、海洋資源・ブルーカーボン分野における有望なCO2吸収策の追求(世界各地に拠点を持つHatch社を通じて、将来有望なCO2吸収策となり得る海洋資源・ブルーカーボン分野のスタートアップやアカデミアと繋がることで、同分野の知見・経験を獲得することを目指す)となる。
 その他、日本国内におけるブルーカーボン事業創出(同社とHatch社にて、日本国内におけるブルーカーボン活用に向けた共同検討を開始する。共同検討は「将来的なCO2作減と事業創出に資すること」、「日本の地理的特性を生かせること」、「漁業振興、地域貢献につながること」をテーマとして取り組む。調査を通じ、日本の各地域における藻場づくりをはじめとしたブルーカーボン生態系の活性化・持続可能性の向上や地域創生に貢献する事業の創出を推進する。同取り組みを通じ、ジャパンブルーエコノミー技術組合(JBE)が発行する「Jブルークレジット」を取得することを目標として掲げており、将来的には、同社の既存ビジネスと組み合わせ、新たな製品・サービスを提供することで事業の拡大を目指す。)などの特徴がある。
 Hatch社は、主に米国、ノルウェー、シンガポールに拠点を持ち、海洋資源分野において高成長し、環境問題に取り組むスタートアップ企業に投資を行うベンチャーキャピタル。Hatch社はその他にも、アクセラレーター、コンサルティングサービス、水産養殖業界向けメディア「Fish Site」を運営しており、世界中の企業・アカデミアとも共同研究・事業に取り組んでいる。
 同社は2022年11月に発表した「中期経営計画(2023~2025年度)」において、下記「一歩先のエネルギー」「多様な省資源・資源循環ソリューション」「スマートよろずや」の3つの事業領域の社会実装を通じ、事業ポートフォリオ転換を推進することを表明した。
 同取り組みは同社が掲げる2050年のカーボンニュートラル社会の実現に向けた3つの事業領域のうち「一歩先のエネルギー」「多様な省資源・資源循環ソリューション」の開発と社会実装に向けた取り組みと位置付けている。

ハッチ社がハワイ島に拠点を構えるハワイ州立自然エネルギー研究所

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