三井化学、CR誘導品 製造・マーケティングを開始

2023年07月28日

ゴムタイムス社

 三井化学は7月27日、サーキュラーエコノミーの実現に向けて、廃プラスチックを原料とした熱分解油(廃プラ分解油)を株式会社CFPより調達し、23年度4四半期に大阪工場のクラッカーに原料として投入、国内初となるマスバランス方式によるケミカルリサイクル由来の誘導品(化学品・プラスチック)の製造・マーケティングを開始することを発表した。バイオマスナフサ誘導品と同様、各誘導品におけるケミカルリサイクル製品の展開を今後も継続的に推進していく。
 近年、国内外でプラスチックリサイクルの重要性や社会的ニーズが高まっているなか、同社はサーキュラ―エコノミーの実現に向け、マテリアルリサイクルやモノマテリアル化によるリサイクル性向上、ブロックチェーンによるリサイクル製品のトレーサビリティ強化など、素材だけでなく仕組み作りも視野に入れたリサイクルの取り組みを進めている。
 今回のケミカルリサイクルの取り組みは、これまで品質や衛生面からリサイクル品を使用することが困難であった用途においてもリサイクル由来の素材を適用することが可能となり、これまで低かったプラスチックのリサイクル率を大きく向上させる可能性がある。本件は廃棄されたプラスチックを資源と捉え再利用する「RePLAYER」のコンセプトの一環であり、2021年12月から投入開始したバイオマスナフサと同様、「素材の素材から変えていく」取り組み。同社は、バイオマスやリサイクルによるサステナブル原料への転換、アンモニア燃料化などの燃料転換、地域連携による共創を通じて、クラッカーのトランスフォーメーションによるコンビナートのサステナブル化を目指している。
 廃プラ分解油は石油由来ナフサやバイオマスナフサと同様、炭化水素油であり、それらをクラッカーに投入することで、エチレン、プロピレン、C4・C5 留分、ベンゼンといった基礎原料を製造する。得られた同等の基礎原料を基にフェノールなどの基礎化学品、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン類を製造するため、誘導品(化学品やポリマー)の物性は既存品(バージン品)と全く同等のものとなる。また、バイオマス・リサイクル社会の実現に向けて、マスバランス方式は重要な役割を果たすと考えられる。
 今後、同社は認証制度として欧州で広く採用されているISCC Circular認証を取得し、マスバランス方式によるケミカルリサイクル製品を市場展開していく予定。

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