NOKとリトルソフトウェア 認知症予防へ共同開発着手

2023年07月03日

ゴムタイムス社

 NOKは6月26日、株式会社リトルソフトウェアとの共同開発により、eスポーツを通じた認知症予防プログラムのパッケージ化に向けて今年2月より開発に着手していることを発表した。
 本パッケージの試作品を、6月28日(水)から東京ビッグサイトで開催される「LIVeNT2023 eスポーツビジネスEXPO」に出展し、試作品体験を実施する。
 微弱な脳波も伝達可能な同社の生体用信号ゴム電極「Sottoブレイン(そっとブレイン)」を実装した脳波測定デバイスと、人の感情や状態を収集・分析する事業を展開するリトルソフトウェアが開発した分析アプリケーションをパッケージ化し、ソフト面とハード面で両社の技術、分析力を融合させ高齢者向けの脳波測定プログラムのパッケージ化を目指している。
 各自治体でも高齢者の健康づくりや社会との交流促進のためにeスポーツを活用する動きがあるが、実例による効果の可視化が少ないというのが現状。そこで、本共同開発プログラムでは、eスポーツを通じた認知症予防の効果を明らかにし、MCI(軽度認知障害)患者の早期発見にも貢献したいと考えている。
 2、3月に東大阪市にて行った最初の実証実験に続けて、今後もさらにより多くの脳波データを収集し、その波形の出方やパターンを分析することで精度を高める必要がある。今回、認知症予防に関わる施設や企業の方々へのニーズ調査に加え、実験協力先の開拓のため、「LIVeNT2023 eスポーツビジネスEXPO」へ出展する。
 本共同開発プログラムは、2024年度以降の事業化を目指しており、高齢者施設やフィットネスクラブなど、気軽にeスポーツに取り組める場所での普及を狙う。さらに、将来的にはeスポーツだけでなく脳力トレーニングや運動などが認知症予防にもたらす効果を可視化し、世界で最も高齢化率の高い日本発の認知症予防プログラムの確立と普及を目指していく。
 「そっとブレイン」はイオン化処理により耐分極電圧特性に優れ、マイクロボルト単位の微弱な電位を頭皮上から取得できる電極。脳波は筋電や心電に比べとても微細な信号のため、取得が難しいとされているが、同社の「銀の粒子をゴムに均一に分散させる」という配合技術により、金属に近い導電性を実現している。またゴム素材でできているため、軽く押しあてるだけでストレスなく微少な電位を取得でき、測定の際に電極糊(ジェル)も不要なため、洗髪の必要もなく繰り返し使用できる。
 「そっとブレイン」を被験者の頭に装着し、リズムゲームやレースゲームなどのeスポーツをプレイしてもらい、脳波を測定し分析する。脳波からは、プレイ中注意力、脳の活動状態、学習力(認知力)が可視化される。この可視化されたデータと、平常時のデータを比較分析し、脳の状態を把握する。個人のデータを蓄積することで、認知症の予防や早期発見につなげていく。

キャップ型脳波測定デバイス

キャップ型脳波測定デバイス

そっとブレイン搭載の脳波測定デバイス

そっとブレイン搭載の脳波測定デバイス

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