リケンテクノスと早稲田大学 PVCの有効活用法開発に着手

2023年06月30日

ゴムタイムス社

 リケンテクノスは6月29日、同社と早稲田大学と共同でポリ塩化ビニル(PVC)に代表される塩素含有プラスチックの有効利用法開発に着手すると発表した。
 近年資源循環の観点から廃プラスチックのリサイクル法の開発が活発に進められている。分解反応等を伴うケミカルリサイクル法については、基本的にはプラスチックを化学原料にまで戻すため、種々の製品に再転換が可能で応用範囲も広くなる。
 現在リサイクル法の開発対象となっているプラスチックは、ポリエステルやポリオレフィンが主流となっている。一部ではパイロットプラントでの実証実験も進められており、早期の実用化が期待されている。
 しかしながら、PVCはポリマー骨格中に塩素を含有しており、分解反応時に生成する塩素含有化合物の取り扱いや、炭素を主成分とする残渣骨格の複雑さから、上記プラスチックに比べてリサイクル技術の難易度が高いとされている。またPVCは可塑剤、安定剤、充填剤等の添加剤と共に溶融混練したPVCコンパウンドが成形品原材料となる場合も多く、分解反応に対してのこれら添加剤の影響も不明な点が多く存在する。
 そのため、PVCのリサイクルでは直接塩化ビニルモノマーに戻すのではなく、PVCを出発原料として他の有用な化合物に転換する手法の開発に取り組んだ事例もあるが、殆どが実証実験の段階に留まっている。
 このようにPVCのケミカルリサイクル技術の確立が難しいとされることから、同社は廃PVCを有効的に活用するために早稲田大学の所千晴教授の研究グループと共同で塩素含有プラスチックを用いた廃金属化合物からの有用金属回収技術の開発に着手する。
 廃金属化合物は酸化物の混合物となっている場合が多く、これらを金属塩化物に変換することにより蒸気圧の差から有用金属類の分別回収が可能となる。
 この技術において塩化物に変換する際の塩素源としては一般的には塩化カルシウム等を使用しますが、代替としてPVCに代表するような塩素含有プラスチックを用いることで、これらの有効利用につながることが期待できる。
 一般に使用しているPVC製品の多くは上述のように、PVC以外の様々な添加剤を含んでいることから、これらの添加剤の影響が塩化物への反応や金属回収プロセスに及ぼす影響を考慮する必要がある。
 この度開始した共同研究では、同社が世の中で実際に使用しているPVC製品のモデルとなるようなPVCコンパウンドを作成し、それらを用いて早稲田大学にて金属塩化物への転換反応の最適化を検討する。

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