旭化成とマイクロ波化学 PA66、CR技術の共同実証開始  

2023年05月02日

ゴムタイムス社

 旭化成とマイクロ波化学は、マイクロ波技術を用いて自動車向けエアバッグ、自動車部品などに使用するポリアミド66(PA66、またはナイロン66「レオナ」)の製造工程で発生する端材、使用済み廃材をマイクロ波を用いて解重合し、直接モノマーに戻すケミカルリサイクル(CR)技術の実用化を目指した共同実証試験を開始した。
 マイクロ波によるポリアミド66分解は、旭化成が、現在、化石燃料からヘキサメチレンジアミン(HMD)とアジピン酸(ADA)を製造するとともに、HMDとADAを原料として耐熱性や強度・剛性に優れたエンジニアリングプラスチックであるポリアミド66を製造している。
 ポリアミド66は、自動車や電子製品向けの樹脂部品、エアバッグ向けの基布などの幅広い用途で使用され、今後も世界的な需要は増加すると予想されている。一方、カーボンニュートラルの実現に向けては化石燃料由来の化学製品は温室効果ガス(GHG)排出量の削減という社会的な要請の高まりから、その製造方法等に対する関心が高まっている。
 マイクロ波化学は、対象物質を直接的かつ選択的に加熱でき、エネルギー効率が高いマイクロ波を用いたプロセス開発を軸として、産業部門のカーボンニュートラル実現に向けて技術開発と事業開発を推進中。ケミカルリサイクルでは、マイクロ波による独自のプラスチック分解技術プラットフォームである「PlaWave」の構築を進めている。
 2021年度から開始した実験室レベルでの検討では、マイクロ波によるポリアミド66の高収率での解重合を確認し、解重合後の分離・精製プロセスの原理確認ができた。2023年度内にマイクロ波化学の大阪事業所内にベンチ設備の作製を開始し、2024年度にベンチ設備を用いた小型実証試験を行い、実用化に向けてプロセスの基礎データを収集する。
 ポリアミド66製造フロー比較(従来法VSケミカルリサイクル法)の今後は、小型実証試験の結果をもとに詳細検討を進め、2025年度までに事業化の可能性を判断する。また小型実証試験と並行してポリアミド66のケミカルリサイクルにおいて、バリューチェーン全体を巻き込んだビジネスモデル構築を行い、ポリアミド66のバリューチェーンのステークホルダーの方々とともにサーキュラーエコノミーの実現を目指していく。
 旭化成は、既に発表済みのバイオマス原料由来のポリアミド66の実用化検討とともに、マテリアルリサイクル、ケミカルリサイクルの実用化検討を行い、ポリアミド66のユーザーのカーボンニュートラルへの取り組みに応じた最適ソリューションを提供していく考えだ。

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