年頭所感 日本ホース金具工業会 蜷川広一会長

2022年01月01日

ゴムタイムス社

 2022年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。
 
 2021年は、一昨年に引き続き全世界が新型コロナウイルス感染症に翻弄された一年でした。緊急事態宣言の発出と解除、新規感染者数の増加と減少に合わせて、経済活動の制限と緩和が繰り返される中、ならしてみると景気の緩やかな持ち直しの動きは維持されました。昨年の大きなトピックスは、米国がバイデン政権に代わったことでしょう。1月の就任式直前に議事堂占拠という惨事がおこり異例な政権交代となりましたが、就任早々の「アメリカ救済計画」と銘打った経済政策を成立させるなど、バイデン政権の最初の1年はまずまずの成果だったと言えましょう。        

 あと、景気を大きく押し上げると期待されていた東京オリンピック・パラリンピックは、ほぼ無観客の開催になったこと、祝祭ムードが抑制されたこと、選手や関係者の行動が厳しく制限されたことなどからイベント効果による需要の押し上げは限定的でしたが、アスリートたちの激闘、笑顔や涙、パワフルなメッセージは世界中を感動の渦につつみました。

 12月8日に発表された2021年7~9月期の実質GDP成長率は、前期比0.9%減(年率換算3.6%減)と2四半期ぶりにマイナスとなりました。感染第5波の拡大が個人消費を押し下げたことに加え、半導体をはじめとした部品不足により自動車などの生産に制約がかかり、個人消費や設備投資、輸出を減少させたことが、コロナ禍からの回復に水を差しました。景気の現状を示す10月の景気動向指数は4カ月振りに上昇しました。東南アジアからの部品の供給不足が緩和されて自動車などの生産が増え、アメリカやEU向けの輸出が伸びたことが要因です。

 大手需要先である建設機械(本体合計)は、1~10月累計で国内が前年同期比1.8%減、輸出が同53.3%増、合計が同27。8%増でした。直近の10月は、国内が1.6%減と2カ月連続の減少、輸出は53.4%増で12カ月連続の増加、合計では28.2%増で12カ月連続の前年同月比プラスとなりました。メインの油圧ショベルですが、10月は国内向けが前年同月比8.1%増となり1~10月累計では同1.2%減となりました。輸出は同52.4%増で1~10月累計は同34.9%増でした。

 工作機械の1~10月受注額は、国内が前年同期比54.1%増、輸出が同89%増、合計は同76%増で12カ月連続プラスとなりました。国内は全11需要業種の全てが好調で、輸出は欧州向けが前年同期比126%増(構成比20.4%)、アジア向けが同98.9%増(構成比51%)、北米向けが同54.8%増(構成比26.6%)となっています。

 さて、当工業会の需給状況ですが、上記のような影響を受け、2021年1~10月の出荷実績は544億円(前年同期比121%)となっております。内訳は産業用ゴムホースが420億円(前年同期比122%)、自動車用ゴムホースが35億円(同113%)、樹脂ホースは60億円(同120%)、付属金具は29億円(同114%)でした。

 2022年ですが、新型コロナウイルスでは新たにオミクロン株が出てきております。ワクチンや新薬効果で早くコロナ禍を克服し、半導体等の部品不足も早く解消され、再生の良い年になることを祈念しております。

 ISO/TC45(液圧用ゴムホース及びプラスチックホース)関連では、昨年10月に奈良で開催予定の国際会議は中止となり、一昨年と同様Web会議での開催となりました。国内審議会は一昨年同様Web会議で4回の会議が開催されました。

 ISO/TC131(油圧・空気圧システム及び要素機器)関連では、昨年10月に姫路で開催予定の国際会議はWeb会議となりました。国内審議会は一昨年同様Web会議で4回の会議が開催されました。

 本年は、TC45、TC131ともに国際会議が無事開催され、日本の考え方をISOに反映させて日本規格の国際化を推進する活動を更に進めて参りたいと存じます。 当工業会では、これからも会員相互の発展を促進する為、技術の向上並びに普及を図り、公共の安全を確保すると共に、関連業界の発展のために努力して参ります。

 年頭に当たり、業界の益々のご繁栄と皆様方のご健勝を祈念申し上げますとともに、倍旧のご支援を賜りますようお願い申し上げまして、新年のご挨拶とさせて頂きます。

蜷川広一会長

蜷川広一会長

 

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