特設記事1 ゴム金型における金型材料と表面処理

2021年08月26日

ゴムタイムス社

*この記事はゴム・プラスチックの技術専門季刊誌「ポリマーTECH」に掲載されました。
*記事で使用している図・表はPDFで確認できます。

ゴム金型における金型材料と表面処理

(一社)日本ゴム協会金型研究分科会(元・豊田合成㈱)上嶋桂二

1.はじめに

 ゴム製品の多くは金型を用いて成形されており、金型は製品の品質・コストに大きな影響を与える、ものづくりの重要なツールである。
自動車部品・家電製品・情報機器の多様化や高度化を背景に、これら産業の基盤を支える金型産業も大きく発展した。金型に用いる材料と表面処理の種類はニーズに応え多岐にわたると共に、その技術は格段の成熟をみた。

 ゴム金型においても、初期の頃は成分に偏析があり不安定なナマ材と称する一般構造用圧延鋼材が用いられている時期があったが、近年はハイクラスの市販金型用鋼の採用が一般的になった。また、新たな表面処理が様々に開発されモールダの評価を経て利用されるようになり、金型の付加価値が大いに高まったように思う。
金型に用いる材料と表面処理の選定は金型設計における主要件であり、広範な視点からの検討を要する。

 金型材料とは金型各部の構成基材であり、それらの付加価値をより高めるために適宜、表面処理が用いられる。

 ゴム成形金型の構成材料においては圧力容器や加熱媒体としての機能を果たすための耐圧・耐変形・耐摩耗・良熱伝導・耐食などの要求特性が挙げられる。また、表面層には流体管路や相互摺動体などの機能が求められており、硬さ・層の厚さ・層と基材間の密着強さ・表面粗さ・ぬれ性などの要求特性が挙げられる。
基材と表面処理の適確な組み合わせにより全体としての金型の機能が補完されることになる。表1はゴム金型の構成材料、表面層の機能・特性を示したものである。

2.ゴム金型用材料

 上述の機能に見合うよう、様々な素材が金型用材料と

 

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