異種材料接合技術を開発 昭和電工のWelQuick

2021年06月30日

ゴムタイムス社

 昭和電工は6月28日、樹脂と金属など異種材料を簡便かつ強固に接合するフィルムタイプの接合技術「WelQuick」を開発し、6月からサンプル提供を開始したと発表した。

 近年、素材に対する軽量性、耐熱性、強度などのニーズは単一素材では解決できないほど高度化し、樹脂や金属などの異種材料を接合して複合化するマルチマテリアル化が進展している。異種材料の接合には、液状接着剤やホットメルト接着剤による接着や、ボルトなどによる機械締結があり、接合強度とともに、接着プロセスの簡便化や工程の短時間化が求められているが、その両立は困難だった。

 今回、同社が開発したWelQuickは、接着成分をフィルム形状にすることで、従来の反応型接着剤の液体塗布の手間を削減し、取扱を簡便にしたうえ、フィルム材料の固体と液体間の相変化を利用することで、これまで数十分必要であった接着時間を数秒にすることを可能とした。

 WelQuickは、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ナイロンなどの樹脂とアルミニウム、鉄、銅といった金属との接着に対応し、40通り以上の基材の組み合せで10MPa以上の高いせん断接着力を確認している。また、接合スピードに優れた超音波溶着、金属に適用可能な高周波溶着、汎用性が高い加熱溶着など、顧客のニーズに合わせた溶着方法が利用できる。さらに、フィルム状態で常温での長期保管が可能なうえ、溶着時にVOC(揮発性有機化合物)が発生しないため環境への負荷を抑えられる。

 以上のような特長から、WelQuickは顧客のコスト低減や製造プロセスの効率化による二酸化炭素の排出量削減にも貢献できる。

 同社グループは、無機・有機・アルミニウムに関する幅広い技術・素材を有しており、今後はそれらを融合することで、マルチマテリアル化が進む様々な事業分野に新たなソリューションを提供し、カスタマーエクスペリエンスの最大化を目指していくとしている。

 

同社が開発したWelQuick

同社が開発したWelQuick

接着例

接着例

従来の接着法との工程比較

従来の接着法との工程比較

 

 

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