永久帯電防止剤による各種ポリマーの高機能化

2021年03月09日

ゴムタイムス社

*この記事はゴム・プラスチックの技術専門季刊誌「ポリマーTECH」に掲載されました。
*記事で使用している図・表はPDFで確認できます。

特集1 多様な要求に対応する樹脂添加剤・フィラー活用法

永久帯電防止剤による各種ポリマーの高機能化

㈱ADEKA 圓城直樹

1. はじめに

 プラスチックは電気絶縁性を有するため帯電しやすく、静電気障害などを防止する目的で帯電防止剤が広く使用される。特に帯電防止性能の持続性や、接触物の汚染防止の観点から永久帯電防止剤が注目されており、電子部材搬送容器や家電製品、フレキシブルコンテナの内袋、自動車内装材など様々な用途で使用されている。本稿では、当社の永久帯電防止剤「アデカスタブAS-300シリーズ」について紹介する。
 表1にアデカスタブAS-300シリーズの特徴を示す。アデカスタブAS-300シリーズは対象樹脂によって使い分けられ、ポリオレフィンにはAS-301Eが、スチレン系ポリマーにはAS-302が適する。いずれも融点が90~100℃であるため低温での成形加工が可能である。また、1wt%重量減少温度が290℃を超えていることから、ほとんどの樹脂の加工温度領域において分解することなく成形加工できる。さらに、ペレット形状で取り扱いやすく、従来の永久帯電防止剤よりも黄色度が低いため成形品の着色が容易であるという特徴がある(図1)。
 一般に電気絶縁性の指標としては表面抵抗率が用いられる。プラスチックの表面抵抗率は1015~1017 Ω/sqと高く、静電気障害を回避するには少なくとも1013 Ω/sq以下に低下させることが求められる。成形品へのホコリ付着防止用途では1011~1013 Ω/sq、ICの誤作動やメモリー破壊といった電子機器等向け静電気スパークの防止には108~1010 Ω/sqまで低下させる必要がある1)。永久帯電防止剤は、樹脂中に分散して導電回路を形成することで帯電防止性能を発現するため、帯電防止剤自身よりも低い表面抵抗率には到達できないが、アデカスタブAS-300シリーズは自身の表面抵抗率が106~107 Ω/sqであるため、前述のいずれの用途にも対応できる。

2. ポリオレフィン向け永久帯電防止剤「アデカスタブAS-301E」

2.1 基本性能
 アデカスタブAS-301Eはポリオレフィン向け永久帯電防止剤である。各樹脂にAS-301Eを添加した試験片の表面抵抗率(JIS K6911準拠)を図2に示す。AS-301Eはポリプロピレンやポリエチレンに優れた帯電防止性能を付与し、添加量を調整することで任意の表面抵抗率へ容易に制御できる。

2.2 帯電防止性と耐候性の両立
 滑り台や人工芝などの屋外用途では、ポリオレフィンが光劣化しやすいことに加え、永久帯電防止剤も光の影響を受けるため、長期的な帯電防止性と耐候性の両立が課題であった。一般にプラスチックの光劣化を防ぐには光安定剤であるヒンダードアミン系光安定剤(Hindered Amine Light Stabilizer, HALS)や紫外線吸収剤(UVA)が使用されており、当社はHALSやUVAについて豊富なラインナップを有している。その中でも「アデカスタブLA-52」(図3)は、有効成分であるアミン濃度が高く塩基性の低いHALSである。
 耐候促進試験の光照射時間による表面抵抗率の変化を表2に示す。配合1はAS-301Eを添加していないため表面抵抗率が高く、LA-52を添加していないため試験開始から約4,000時間後の光沢度が大幅に低下していることから樹脂の光劣化が確認された。一方、配合2はAS-301Eを添加したため試験前の表面抵抗率は1010 Ω/sqであり、LA-52を添加したため約4,000時間経過しても帯電防止性能と光沢度を維持していることから、LA-52が樹脂とAS-301Eの光劣化を防ぐことが分かる。従って、AS-301EとLA-52を添加した高密度ポリエチレンは屋外用途での使用に適した処方といえる。

2.3 帯電防止性と難燃性の両立
 家電筐体などの用途ではホコリ付着防止目的で帯電防止剤を添加するのはもちろんのこと、難燃性も求められる。イントメッセント系難燃剤「アデカスタブFP-2500S」は、燃焼時に炭化被膜による発泡膨張層(イントメッセント)を形成し、樹脂の分解ガスの遮断と断熱効果により、効果的に燃焼を

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