プラスチック用永久帯電防止剤

2021年03月09日

ゴムタイムス社

*この記事はゴム・プラスチックの技術専門季刊誌「ポリマーTECH」に掲載されました。
*記事で使用している図・表はPDFで確認できます。

特集1 多様な要求に対応する樹脂添加剤・フィラー活用法

プラスチック用永久帯電防止剤

三洋化成工業㈱ 徳永浩信

1.はじめに

 プラスチックは優美な美観、成形性、軽量性、電気絶縁性から身の回りのあらゆるところで使用されている。一方、絶縁性であるために生じる障害も多い。摩擦帯電などによって生じた静電気により空気中のほこりや汚れを吸着し美観を損ねたり、成形中にフィルム同士がはり付くなど、プラスチック製品の製造、加工、使用時にいたるまで種々のトラブルが発生することがある。また、静電気放電による電子機器や精密電子部品などの電子回路の破壊や誤作動、スパークによる火災や粉じん爆発といった災害などの静電気障害を引き起こすこともある。
 このような静電気による問題を回避するためには、プラスチックを使用する目的に応じて、表11)に示すように表面固有抵抗値を制御することが必要である。一般的なプラスチックの帯電防止方法を図12)に示す。
 帯電防止剤は、この表面固有抵抗値を制御するために使用されるものであり、発生した静電気を速やかに逃がす役目を果たす。

2.帯電防止方法の種類

 プラスチックの改質による帯電防止技術として、界面活性剤(以下、低分子型帯電防止剤)を表面に塗布する方法と内部に練り込む方法がある。プラスチック表面に存在する親水性の高い低分子型帯電防止剤が、空気中の水分を通して静電気を漏えいさせることで帯電防止性を付与することができる。
 しかしながら、これらの方法では帯電防止性の効果の持続性が乏しく、水洗いや布拭きなどで効果が低下する。また、空気中の水分吸着を利用しているため、湿度依存性が大きいなどの欠点もある。
 これらの欠点を解消する方法として、カーボンブラックを導電性フィラーとして添加する方法がある。この方法は、プラスチック中に分散した導電性フィラーが電荷の通り道である導電回路を形成することで導電性を付与しており、効果の持続性や湿度依存性に優れている。しかし、一般的には電子部品・回路の保護として最適な107~109Ω範囲の表面固有抵抗値を安定に発現するには、本方法では表面固有抵抗値のばらつきが大きく不向きである。また、フィラー自体の色の影響でカラフルな着色ができず、処理コストも高くなるため、限られた範囲にしか使用できないといった問題もある。
 本稿では、これら問題を解消することができる練り込み型の帯電防止剤である高分子型帯電防止剤を取り上げその種類、特性などについて述べる。

3.帯電防止性の評価方法

 帯電防止剤の性能評価については、一般的に電気特性を測定することによって行われる。帯電防止剤で処理(練り込み、塗布)したプラスチック試験片を作り、その試験片の表面固有抵抗値、体積固有抵抗値あるいは帯電圧の半減期を測定する。表面固有抵抗値は試験片表面の電気抵抗値(単位はΩ)である。体積固有抵抗値は試験片内部の電気抵抗値(単位はΩ・cm)である。これらは超絶縁計で測定される。これらの電気抵抗値が小さいほど電気が流れやすい、つまり帯電防止効果があることを意味する。また、

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