第4四半期の業績を発表 BASF、全地域で販売量増加

2021年03月05日

ゴムタイムス社

 BASFは3月2日、2020年の決算を発表した。

 2020年第4四半期はすべての地域で販売量が増加し、グレーターチャイナでは2桁の伸びを見せている。第4四半期には、ほぼすべての事業セグメントで販売量が増加した。イソシアネートなど一部の汎用品についても、利益率は大幅に向上した。固定費の減少も好業績に貢献した。

 第2四半期の売上高は、前年同期比8%増の159億ユーロだった。販売量は7%増加した。販売価格も7%上昇したが、これは主にサーフェステクノロジー事業セグメント、アグロソリューション事業セグメント、マテリアル事業セグメントの貢献による。Solvay社からのポリアミド事業の買収によるポートフォリオの変更でプラス効果が1%、売上高に対する為替のマイナス効果が7%、それぞれ見られた。

 特別項目控除前営業利益は、前年同期比32%増の11億ユーロだった。これは主に、マテリアル事業セグメント、ケミカル事業セグメント、インダストリアル・ソリューション事業セグメントの大幅増益によるもので、その他の事業セグメント、および「その他」に分類される事業の貢献減少を補って余りある効果があった。

 特別項目控除前EBITDAは前年同期比15%増の21億ユーロだった。EBITDAは、前年同期の16億ユーロに対し、20億ユーロとなった。EBIT(営業利益)に含まれる特別項目は、前年同期のマイナス2億6300万ユーロに対し、マイナス1億8100万ユーロだった。EBITは61%増の9億3200万ユーロだった。

 2020年通期、同社グループの売上高は591億と、ほぼ安定した状態を維持した。為替のマイナス効果や販売量減少の影響は、販売価格の上昇とポートフォリオ変更のプラス効果で相殺した。

 特別項目控除前EBITDAは前年比11%減の74億ユーロだった。EBITDAは前年の82億ユーロに対し、65億ユーロだった。2020年の特別項目控除前営業利益は前年比23%減の36億ユーロだった。コロナ禍の影響を受け、インダストリアル・ソリューション事業セグメントを除く全事業セグメントで減益となった。インダストリアル・ソリューション事業セグメントでは、2019年と同水準の特別項目控除前営業利益を達成したが、ケミカル事業セグメント、マテリアル事業セグメントにおける川上事業からの貢献が大幅に減少したことで、同社グループ全体としては減益となった。とりわけ自動車産業からの大幅な需要減少が、サーフェステクノロジー事業セグメントの利益を圧迫した。

 2020年のEBITは前年の42億ユーロから減少し、マイナス1億9100万ユーロだった。EBITに含まれる特別項目は、前年のマイナス4億4200万ユーロに対し、マイナス 38億ユーロだった。この特別費用の増加は主に、2020年第3四半期に現金に影響を及ぼさない、有形および無形固定資産の減損処理を行ったことによる。

 営業活動によるキャッシュフローは、前年の75億ユーロに対して54億ユーロだった。 最高財務責任者のDrハンス―ウルリッヒ・エンゲルは、「コロナ禍が当社事業にマイナスの影響を及ぼすなか、前年の37億ユーロから減少したものの、2020年は23億ユーロという堅調なフリー・キャッシュフローを確保できた」と述べている。この減少は主に、純利益の減少と正味運転資本にかかる現金の増加によるもので、無形および有形固定資産支払額の減少が、これを一部相殺するかたちとなった。

 同社取締役会会長Drマーティン・ブルーダーミュラーは、「困難な時期にあるが、安定配当はBASFの優先事項」と述べている。同社取締役会および監査役会は年次株主総会にて、1株当たり3・30ユーロの配当を提案する。同社は昨年同様、株主に総額30億ユーロを配当する予定としている。2020年末の株価64・72ユーロを基準とすると、同社株の配当利回りは5・1%と、高い数字になる。

 投下資本利益率(ROCE)は前年の7・7%に対し、1・7%だった。特に現金に影響を及ぼさない29 億ユーロの減損処理がEBITにマイナスの影響を及ぼし、それが今回のROCE低下の主因となっている。

 社員の変動報酬はROCEによって決まるため、この低下は社員の業績連動報酬にも影響する。2020年のROCEは賞与支給基準を下回った。しかし、取締役会は社員に対する感謝の気持ちとして、賞与の支給を決定した。「誰にとっても困難であったコロナ禍の2020年において、奮闘してくれた同社チームを称え、賞与を支給したいと思う」とブルーダーミュラー氏は述べている。同社は総額3億6000万ユーロの賞与を支給する予定としている。

 同社では、コロナ禍による急激な景気後退を経て、2021年は世界経済が回復すると期待しているが、今後も非常に不透明な状況が続くと見ている。そのため、同社の予測には、世界のサプライチェーンが再び大きな混乱に陥るリスクや、それに伴う経済全体への悪影響を幅広く考慮に含めている。

 同社は、顧客産業、とりわけ自動車産業の成長を想定している。世界経済は2020年比で4・3%の大幅な成長が見込まれる。世界の化学品生産は4・4%増と、前年を大幅に上回る見通しとなっている。平均ブレント原油価格は、1バレル50ドル、ユーロ/ドルの平均為替レートは1ユーロ=1・18ドルを予測している。

 こうした想定内容に基づき、同社は売上高目標を610億~640億ユーロとする。同社グループの特別項目控除前営業利益は、41億~50億ユーロの見込みで、投下資本利益率(ROCE)は8・0%~9・2 %と予想している。

 2021年、アクセラレーター製品の売上高は180億~190億ユーロに達する見込みであり、また二酸化炭素排出量は2050万t~2150万tで推移すると見ている。

 有機的成長への投資では、2021年~2025年に229億ユーロの設備投資を計画しており、うち41%をアジア太平洋地域、39%を欧州において実施する。2021年については、総額36億ユーロの投資を予定している。

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